■第九話 都心に初めて。シマトネリコの並木
神田駿河台1丁目の通称「とちのき通り」に沿って、昨年、明治大学創立120周年記念事業として「アカデミーコモン」が新設された。その前庭、明大スクウェアの外周に広い提供歩道がつくられ、14本の樹姿の優しい並木が出現した。目通り径10cm、樹高4mの常緑樹で、その名はモクセイ科トネリコ属の「シマトネリコ」(別名タイワンシオジ)。もともと亜熱帯から熱帯の山地に生育していた植物で、西日本から九州・沖縄にかけて街路樹・公園樹・庭木等に多く使われてきた。しかし、都心では今まで冬の寒さに適応できず、緑化樹木として登用されなかったのではないだろうか?しかし最近の都市の温暖化により、多くの植物たちが屋外で越冬可能になったり、また耐寒性を強めた種が試作されたりして、都市樹木も楽しみを増してきている。この並木も昨年植付け後に無事都心での冬を経過し、間もなく二度目の冬を迎えるが、間違いなく並列するトチノキと共に、都心の並木として適応していくものと思われる。
実はその後の調査で、目黒区の中目黒駅近くのビルの前庭に、目通り径15cm、樹高5mの先輩シマトネリコ11本の列植を確認できた。現地に植えられて 4年ほど経過しているようである。この前例の適応性から、今後都心をはじめ東京の各所で、シマトネリコの並木道を散策する機会が近いのではないだろうか。 2004.11.29 |
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