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KANDAルネッサンス 100号 (2014.11.25) P.1 印刷用
【かんだ やぶそば】
なかだえり
 100号記念に描かせていただいたのはご存じ「かんだやぶそば」。昨年2月の火災を乗り越え、この10月20日新たなスタートを迎えた。4代目・堀田康彦さんにお話しを伺った。昨年4月にワテラスで行われた「第150回神田学会記念事業」のシンポジウムでのトークに感銘を受けていたので、とても楽しみにしていた。
 元の建物は関東大震災で壊滅した後に建てたもので、東京都選定歴史的建造物にも選定された数寄屋造りの日本家屋だった。しかし長い歴史がありながらも、東日本大震災後の耐震診断では時を経た他の建物同様、良いとは言いがたい結果だった。もし今度大きな災害があったら、その時が建替えるタイミングなのでは。それは次の代か、次の次の代か……、と漠然と思っていたという。そこに起ったのが今回の火災。今となれば、はからずも自分の代で建替えることなり、ある意味良かったのかもしれない。耐震にも十分に配慮がなされ、物の考え方も含め次世代につなげられるものになったのではないかと。
 当初は再開を急ぐあまり、前のめりで建築工事を進めようとしていたが、途中からじっくり取り組むことに考えを落ち着かせたのだそう。この先100年長く続くべく、丁寧な職人技による誠実な空間が完成した。イメージしたのは薮蕎麦発祥の原点に帰って「薮の中にひっそり佇む一軒の蕎麦屋」。板塀をつくらず低い石垣と植栽でゆるやかにまちとつながっている。これはワテラスの再開発に30年間関わってきた堀田さんならではの考え方でもある。個々の商売が独立してあるのではなく地域や社会、業界のなかで、どうあるべきかということを、建物でも具現化したものだ。お話しの全体に、ご自身の店にとどまらない神田全体を見渡す広い視野が垣間見られた。更には世界平和や国際親善、世の中を良くするための社会活動にも取り組んでいる。
 新店舗の前に堀田さんが立つと、行き交う人たちから幾度となく声がかかる。たわいもない挨拶や、工事の進行状況、家族のことなど。時代劇や小説に描かれる江戸の長屋のような親密なコミュニケーションだ。ここからまた新たな歴史がはじまることを、神田のみんなが願っていることが感じられたのだった。

●かんだ やぶそば
千代田区神田淡路町2-1
TEL:03-3251-0287
11:30~21:00(L.O.20:30)
水曜定休
http://www.yabusoba.net/
なかだえり
岩手県一関市生まれ。日本大学生産工学部建築学科卒業。法政大学大学院建築科修士課程修了。陣内研究室。現在、東京・千住に在住。フリーランスで本のさし絵、建築設計、執筆など多分野で活動中。著書に「駅弁女子〜日本全国旅して食べて」(淡交社/2013年)、「奇跡の一本松〜大津波をのりこえて」(汐文社/2011年)、「東京さんぽるぽ」(集英社/2010年)などがある。
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