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KANDAルネッサンス 93号 (2011.06.25) P.2〜3 印刷用

「新しい神田」へ ——歴史と未来の共生を目指す再開発プロジェクト

JR御茶ノ水駅聖橋口から、本郷通りを下り、淡路町・須田町方面へ。この辺りを歩くと、大学や専門学校、老舗の飲食店街や赤煉瓦のアーチ高架橋など、歴史や文化を感じさせる風景にたくさん出会える。
いま、このエリアでは複数の再開発プロジェクトが進み、2012年から2013年にかけて、街が大きく変わろうとしている。そしてそれは、開発事業者と地域住民、歴史と未来が「共生」を目指す、新しい街だ。
「まちづくり」という視点が加わった、神田ならではの再開発プロジェクト。今回はそのなかから「WATERRAS(ワテラス)プロジェクト」「(仮称)神田駿河台4−6計画」「(仮称)神田万世橋ビル」の三つに焦点を当てる。


【インタビュー】
神田再生への想い かんだやぶそば四代目 堀田康彦さん

 神田淡路町二丁目で進む「WATERRAS(ワテラス)プロジェクト」(淡路町二丁目西部地区第一種市街地再開発事業)。このプロジェクトの背景には、地域の人々の街への想いがあった。そしてそれは駿河台や須田町の再開発にも波及していく。
 再開発までの経緯と神田再生への想いを、老舗蕎麦屋「かんだやぶそば」四代目であり、淡路地域まちづくり計画推進協議会会長の堀田康彦氏に聞いた。

学校の統合・移転からすべてが始まった
「そもそも再開発につながる最初の出来事は、36年ほど前に起こりました。淡路小学校の百周年記念誌の企画で、卒業生代表数名の座談会を行い、そこで『児童数の減少で学校の存続が危ない』という話が出ました。学校は子どもだけでなく親たちの交流の場でもあり、コミュニティの核。その存続が危ないとなると、将来街はどうなっていくのだろう? その疑問が、淡路地域の将来を真剣に考えるきっかけとなったのです」
その後堀田氏はPTA会長を務め、学校の統廃合を見据えた研究会「千代田の未来を語る会」を立ち上げた。
「当時は都市のドーナツ化減少や少子高齢化の影響もあり、学校や地域社会の崩壊が起こってきていました。地域を再構築するためには、もっと子どもが生まれ育つ必要がある。学校の統廃合に関する研究と同時に、『子育て世代の住めるまちづくり』のプランニングも進めていきました」

地域主体の街づくりへ
 平成5年(1993)、淡路小学校は統合により移転。母校への思い入れのある人々にとって残念な出来事ではあったが、「より良い街を目指して、学校跡地と公園用地を様々に活用していこう」と、地域が前向きに動き出した。地権者でありデベロッパーである安田不動産(株)や千代田区も加わり、平成9年(1997)には「淡路地域街づくり計画推進協議会(以下、街づくり協議会)」が発足。地権者の賛同を集めるプロセスがまとまった段階で、「再開発準備会」が発足した。
「再開発準備会は直接の利害関係者であり、街づくり協議会はより広域のエリアに対して比較的客観的な立場で意見を言える組織。この二本立てで、計画が進められていきました」
 平成21年(2009)には196名の地権者全員の同意を得、再開発が本格的にスタート。
「新しい建物には住居部分が333戸設けられますが、そのうち約70戸はこの土地の空気を吸ってきた人が入居します。これは、町会運営にしても竣工後のタウンマネジメントにしても、一般的な開発型の事例と比べて大きな違いが出てくると思います」



聖橋、ニコライ堂、赤煉瓦アーチ高架橋……
歴史と文化薫る美しい風景に出会える街


淡路町以外の再開発プロジェクトとの関わり
堀田康彦さん
「JR御茶ノ水駅前にある、旧日立製作所本社跡地の活用には以前から注目し、『街づくり型』で進めることを要請してきました。この開発を担当する『駿河台開発特定目的会社』には安田不動産が参画していることもあり、淡路町の開発は少なからず影響していると思います。
また、旧交通博物館跡地に『(仮称)神田万世橋ビル』を計画するJR東日本には、かなり早い時期から『歴史性を踏まえた再利用計画や歴史的資源の活用』、『次世代に向けた機能更新や親水性の向上』を要望書という形で提出していました。その後担当者との協議がスタートし、淡路町や駿河台の開発についてもお伝えしていきました。この計画地は、かつて万世橋駅というターミナル駅のある賑わいの中心だったところ。単に歴史を保存するだけでなく、賑わいの一大拠点としての機能を再構築してもらいたいですね」

大きな開発も、基本は信頼関係
一般的に事業者主体の再開発が多いなか、「地域主導型」という非常に稀なスタイルで進められている今回のプロジェクト。堀田さんの考える、地域住民と事業者の関係の在り方とはどのようなものなのだろうか。
「ビルを一棟建てるためには、少なからず近隣への迷惑がかかります。しかしそれを経なければ街は次へ進めないのだから、最小限の迷惑は容認しようと。我々から事業者に意見を言わせていただくときは、頭から拒絶するのではなく『win—winの関係がどこかにあるはずだ』という姿勢であることが重要。その代わり地域と共にいいものをつくってほしい。今回の三つの再開発事業者の方々は、『できることは何でも話し合ってやっていこう』という姿勢をとってくれました」

「長い目で見ること」が街づくりの要
 約200人もの地権者の心をひとつにしていく過程で、苦労はなかったのだろうか。
「苦労という感覚はありませんでした。少数ではありましたが共通認識を持つ人たちがいて、その輪が徐々に広がっていった。そして30年以上という長い時間をかけて取り組んでいったことがよかったですね。
 街づくりには長い目が必要です。私たちの世代で良い開発をしておけば、それはこれから生まれてくる子どもたちに良い環境を用意しておくことになるのですから」

●かんだやぶそば
千代田区神田淡路町2-10/tel.03-3251-0287



  
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