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KANDAルネッサンス 91号 (2010.06.25) P.4 印刷用
特集 3331 Arts Chiyoda 個性溢れる入居団体のなかから、今回は3ヵ所をご紹介

都会で「森」とつながる

株式会社トビムシ


 日本の国土面積の約7割を占めるという森林。かつて牛が農業に欠かせなかったころ、森林は大切に手入れされ、餌となる草や燃料となる木、山菜や美しい水を人々にもたらしてくれた。しかし近代になって機械を使った大量生産型の農業になると、それまで続いていた里山のサイクルは終わり、森林も以前のように人の手が入らなくなっていった。
 間伐がゆき届いた森には日光が入り、様々な下草や山菜が育つが、そのままにしておくと森は暗く鬱蒼とした状態になる。いま日本にはそのような「放置林」があちこちにあり、さらにこの状態が続くと、再生できない「手遅れ林」になってしまうという。
 このような状況のなか、森林を「これからの日本の貴重な資源」として再生に取り組むのが、株式会社トビムシだ。現在は岡山県西粟倉村で、林業の構造を変えるところから、「本当に持続可能な地域」づくりを目指している。
 具体的には、森林を運営する資金調達のために、一口5万円の「共有の森ファンド」を創設。今年3月までに504口、約2500万円の投資が集まった。意外にも、投資家の半数以上が首都圏の人だという。このファンドは運営期間が10年間と長く、その分森林が豊かになっていくプロセスにじっくり関われる。
西粟倉村の森に触れてもらうため、様々なツアーも行われる。面白いのは、「ヒノキの学習机ツアー」。地元の方の協力のもと、木を伐るところから組み立てまで、学習机作りを親子で行う。思い出のつまった、世界にたった一つの学習机だ。


①杉の木に囲まれたオフィス。足を踏み入れたとたん、木のよい香りに包まれる ②様々な木を実際見て、
触れることができる「木の標本箱」③「トビムシ」とは、森林土壌に棲む微生物の名前。「人知れず森を支える
存在になりたい」という思いが込められている ④バイテンで販売されている、自然放牧ジャージー牛乳のソフ
トクリーム。甘すぎない、さっぱりした味わい


 
3331にある同社オフィスの床や家具はすべて、西粟倉村の木を使って地元の大工さんが作ったもの。都会の人が実際に木に触れたり、木の香りを嗅いだりできるショールームの役割も果たす。また「バイテン」という名の売店も併設され、西粟倉村のお母さんたち手作りのジャムや、那須の森林に自然放牧されたジャージー牛乳のソフトクリームなどが味わえる。
「地方と東京をつなぐ接点をつくっていきたい」とバイテン管理人の松本剛さんが言うように、秋葉原のメイド喫茶で西粟倉村の木を使ったリフォームをしたり、近隣のベーカリーと一緒にジャムパンを開発したりと、既にコラボ企画も進んでいる。
「都会に住んでいると、一度も木に触れず一日が終わることもありますよね。例えば床や壁を木にするだけでも部屋の雰囲気が変わり、リラックスできます。ほかにもベランダをウッドデッキのようにしたり、檜のプランターを置いたり。そうやって生活のなかにちょっとずつ木を使うことを提案していきたい。また間伐を進めるためにも、間伐材を使った割り箸を広めていきたい」と松本さん。
 街路樹を増やすことだけでなく、こんなふうに都会で木に親しむ方法もあったかと、新しい視野が開けた気がした。
 今後はオフィスのイベント・展示スペースを貸し出して、木工ワークショップやガーデニング講座、芝居の稽古など、様々なことが行われる予定。都会の真ん中で森林とつながれるトビムシのオフィスを、ぜひ一度訪れてほしい。
(文・鷹野希)


■株式会社トビムシ/baiten
東京都千代田区外神田6-11-14
3331 Arts Chiyoda 1F
tel.03-6240-1064
http://www.tobimushi.co.jp/



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