KANDAアーカイブ

神田学会
お知らせ 神田資料室 神田マップ 神田写真館 百年企業のれん三代記 神田の花咲かじいさん 出版物紹介 神田学会とは 神田学会資料請求 関連リンク Perspectives in English 神田アーカイブとは リンクについて 問い合わせ

神田資料室

KANDAルネッサンス 90号 (2010.07.12) 印刷用

寄稿

『KANDAルネッサンス』の90号を読んで

大坪 覚

米沢嘉博記念図書館
(千代田区猿楽町1-7-1)
 私が昨年から授業を担当している、文化学院・文芸コースの学生たちが記事を書くことに参加した、KANDAルネッサンスの90号をじっくりと読んでいると、私が昨年作った本のテーマと重なることが見えてきて、とても興味深く思った。私の本は、東京エリアの「大学博物館」を紹介する、というものだったのだが、90号の中で明治大学米沢嘉博記念図書館、東京理科大学近代科学資料館、明治大学博物館が取り上げられていたことに、偶然とは思えない印象を受けたのだった。さらに、水面下に隠れてはいるが、特集記事の中で紹介されていた馬喰町のギャラリービルとして最近の現代アートシーンの主役であるアガタ竹澤ビルには、武蔵野美術大学が運営しているギャラリーαMが入っている。ひとつのタウン誌の中で、示し合わせたワケでもないのに、「ユニバーシティ・ミュージアム」に関わる記事が多いというのには考えさせられるものがある。
中央工学校発祥記念碑
(千代田区一橋2-6-5)
 これは千代田区という日本の中心地は、学生の街であったことの伝統が、湧水のようにごく自然に表出されているものなのだろう。単に大学や専門学校が多い——というだけではなく、そこには明治以降の日本が歩んできた歴史に深く関わってきたエリアである、という地域性が見える。それは新宿や八王子のような中央線沿線の、大学の「郊外のキャンパス」が集中している街とは違うものだ。時に注意深く神田界隈を歩いてみると、この街が、多くの学校発祥の地であることがわかる。パネルや記念碑に出くわすたびに、ああ、あの学校はここが最初の校舎だったのか、と感慨深いものがある。先日、共立女子大学の神田一ツ橋キャンパス本館で開催されていたコレクション展「武家女性の暮らし—美しきものに囲まれて—」を見に行った帰り道で、今は王子にキャンパスのある、中央工学校の発祥の記念碑を偶然見つけて嬉しくなった。あの学校も取材でお世話になったなあと、記憶がよみがえってくる。再訪の機会を捻出しなくては、などと思ったりする。
 KANDAルネッサンスのエリアマップを見ると、天理大学ゆかりの天理ギャラリーも錦町にある。このほかの多くの大学・学校には長い歴史の中で大切にされてきたコレクションがあるだろう。私の空想では、アテネ・フランセや美學校、東京電機大学や日本大学理工学部のキャンパスに、学外の者でも気軽に見ることができる、大学や学校のコレクションや歴史を紹介するスペースがあると嬉しい。新しい知的な発見がある場所として、大学博物館は絶好の出会いの場所になる。このエリアにそれがもっと増えてくれると、街の味わいに深みが増すと思うのだ。
大坪 覚 (おおつぼ・さとる)
1967年富山県生まれ。龍谷大学文学部史学科国史学専攻及び文化学院創造表現科を卒業。フリーライターとして映画・ブックレビューを主に執筆し、2009年に大学や学校にある博物館を紹介する『TOKYO大学博物館ガイド』をブルース・インターアクションズから刊行。
文化学院・文芸コース非常勤講師。
ページの先頭へ

戻る

ホーム ホーム