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KANDAルネッサンス 88号 (2008.12.25) P.5 印刷用

特集 祝・本と街の案内所1周年

可能性は無限大——案内所の活用法いろいろ


 神保町のインフォメーションセンターとして定着しつつある「本と街の案内所」(以下、案内所)。しかし、その役割は単なる街の情報提供にとどまらない。ギャラリー、イベントスペース、コミュニティラジオの収録スタジオなど、多岐にわたる案内所の活用について関係者に聞いた。

 写真展・イラスト展など、案内所ではオープン以来様々な展覧会が開催されている。それらの企画・運営はどのように行われているのだろうか。
「基本的に、展示の募集を出すことはしていません」
と話すのは、老舗古書店、玉英堂書店四代目の斉藤良太さん。案内所の運営に関わる各団体を通して企画が持ち込まれたり、展示したアーティストから別のアーティストを紹介されたりと、自然につながっていくという。
 たとえば、今年3月から約2ヵ月にわたって開催された「info展」は、古書店でアルバイトをしていた美大生からの提案がきっかけ。東京藝大の建築科に通う学生4名が、各々案内所のプロデュース案を展示し、コンペによって選ばれた一案を実際に案内所を使って実現した。
「学生たちは、模型を形にする難しさを痛感したみたい。ただ、普段自分のデザインを実現できる機会はなかなかないので、かなり貴重な経験になったようです。それにここは『怪我をする危険性のあるもの、大きな音がするものはだめ』という最低限の規定がある程度。状況に応じて壁に穴をあけたり天井からフックを吊るすこともできるし、元に戻す前提で壁を塗るのもOK。使用料もかからないので、学生にとっては最高の場所だと思います」
 また、5月に開催された「神保町写真帖」は、当時NPO連想出版(以下、連想出版)と仕事をしていた写真家、五味ひろきさんによる写真展。
「彼が街の写真をたくさん撮りためていたので、せっかくだから展示しようと、本人より周りが盛り上がって開催することになりました」
と連想出版の青木隆平さんは振り返る。
 ほかにも様々なイベントが催され、なかでも毛糸で簡単な小物を作る「ニットカフェ」には、若いカップルや親子連れなどが参加し賑わった。
「企画する人と訪れた人が、ここで何かしらつながっていったらうれしい」と二人。今後は落語やコンサートなども企画していきたいという。
斉藤さんによると、案内所ができてから、初めて店に来るお客さんが増えたという。
「案内所で検索できる古書情報は一握り。そこで見つからなくても、店頭で見つかる本はたくさんあります。ただ、調べてからのほうが入りやすいというお客さまもいる。だからこそ、古書店はもっと積極的に案内所と情報交換しないといけないのかもしれません」
 古書店と案内所の連携が、今後ひとつの鍵になりそうだ。
 ちなみに、神保町の老舗古書店ではここ数年、30代前後の若い世代がどんどん戻ってきているという。そして、「『神保町』というブランド力を保っていくのが、僕ら老舗の息子たちの役目でもある」と斉藤さん。
「そのために何をしたらいいかなと。『ナビブラ神保町』に登場してみたり(『イケブラFIVE』)(笑)。古本屋は入りづらいとよく言われるので、初歩的ですが顔を出して親しみやすくしています。今まで古書店はこういうことしなかったけど、新しいことをしていくのもいいかなと思って。
 来年古本まつりが50周年を迎えるので、老舗の若手20人ほどで集まって何かしたいと個人的には思っています」
 ここ最近、若者の姿が多く見られるようになった神保町。若い世代の活躍が、これからますます楽しみだ。

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案内所では、タウン誌『おさんぽ神保町』のラジオ版、「おさんぽラジオかんだ神保町」の公開収録もされている(制作:「おさんぽ神保町」編集部、神保町応援隊、制作協力:FMちよだ)。昨年12月1日に放送を開始し、今年9月にはインターネットによる動画配信も始まった。
 そもそも番組が生まれたきっかけは、コミュニティFM放送局「FMちよだ」開局準備室代表の中谷ゆうさんからのオファー。
「千代田区のコミュニティラジオ放送局を立ち上げるにあたって、まずは多くの人が訪れる神保町の番組から始めたかった」
と中谷さんは言う。
その提案を受け、神保町応援隊(以下、応援隊)の有志10数名による企画会議が行われ、11月には一回目の収録が行われた。
 パーソナリティーは、応援隊隊長の白石春美さん、「おさんぽ神保町」編集長の石川恵子さん、フードライターの鈴木高典さん。この3人によるオープニングの掛け合いが、毎回とてもおもしろい。
「オープニングトークのテーマを決めるのは収録30分前」と白石さん。
また、「コーナーによっては台本がありますが、最近まったく台本どおりにしゃべっていない」と鈴木さんが言うように、リラックスした雰囲気のなか、まるで即興演奏のように番組が創られていく。
 番組の最後には、「この街で活躍する人、訪れた人、この街に関わるすべての人を主役にして街の話題を発信する」というナレーションが必ず入る。毎回様々な街の人が登場する、参加型ラジオだ。
「神保町はネタがつきない街」と4人。そして案内所は、様々な情報が集まる場所であり発信地でもある。まさに「ラジオ放送局にぴったりの場所」だという。
「タイトルについている『かんだ』は、神田神保町という地名ではなく神田エリア全体を表す言葉。今後は取り上げる地域も広げていく予定です。また、いずれは放送局としてやっていくために、新たな番組もつくっていきたい」と中谷さんは言う。
「そのためには地域が支えです。企業をはじめ街の皆さんにメリットがなければ、こちらにもメリットは生まれません」
「今後は本を朗読するコーナーをやってみたい」と鈴木さんが言えば、「本当はもっと進めてラジオドラマまでやりたい」と中谷さん。すると、実はドラマの台本を半分ほど書いているという石川さんが「実在する人やお店を登場させて、神保町を歩きたくなるようなエピソードを盛り込んで……」と、まるで企画会議のような盛り上がりに。
 今後もワクワクするような展開がありそうだ。





「おさんぽラジオかんだ神保町」
http://www.fmchiyoda.jp/osanpo_index.html にて番組配信中
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