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神田資料室

KANDAルネッサンス 80号 (2007.01.25) P.7 印刷用
当世古本屋事情 その4

古書店のイメージを変える店

——神田小川町にできた新しい古書店


従来の古本屋のイメージは、入りづらいとか汚い、無愛想といった言葉で表されることが多かった。しかしここにきて、通りから少し入った場所に、これまでの古本屋とは趣を異にする店が相次いでオープンしている。これらの店に共通するのは入りやすさだ。店主の二人に話を聞いた。

サロンをイメージ。ゆっくり本が見られる空間

 夏目滋さんは稀覯(きこう)本を扱う夏目書房の三代目。その夏目さんが「誰でも入りやすい店」をコンセプトに、神田にボヘミアンズ・ギルドをオープンさせたのは2004年のこと。
 ダークブラウンに統一された店内、白熱灯とスポットライトを使った温かみのある照明、バックに流れる音楽など、店の前を通った人にちょっと入ってみようかなと思わせる店づくりだ。また、テーブルと椅子が置かれているのもこの店の特徴と言えるかもしれない。目指したのはリラックスできる空間。「本屋の中ではずっと立って見るものというイメージがあって、意外と座って本を眺める場所がない。ですからこの店は、椅子やソファを置いてゆっくり本を見てもらえるようにしました。言ってくださればお茶も出しますよ」
 棚には美術書関連の本が並び、竹久夢二のオリジナルも数多く収められている。奥のショーケースには近現代の作家の肉筆原稿などが並ぶ。これからは店側にもアミューズメント的な要素が必要だと夏目さんは言う。
■ボヘミアンズ・ギルド:千代田区神田小川町3-26
内田ビル1F tel.03-3294-3300 
営業時間 10:30〜19:00/日12:00〜17:00(無休)
「博物館や文学館でしか見られないようなものがここにはある。好きな作家がいるとしたら、その作家が触れてつくったもの、作り上げたものを見るという感覚ですね。だから店に来てオリジナルを見る楽しみを味わってほしい」
 ボヘミアンズ・ギルドは年中無休だ。これまで神保町は日曜日は休みという店が多かったが、最近、日曜日に営業する店が増えた。「結局、土日しか来られないお客さんもいますから。デパートだって日曜日は混むでしょう。神保町だって同じ。これまでこの業界は平日の昼間に来られる人たちだけを相手にしてきた。すごく珍しい本や安い本を掘り出す人をセミプロっていうのかもしれないけど、僕は欲しいものを探しているお客さんを大事にしていきたい。少なくともこれからは古本マニアの人たちよりも、『この本が読みたい』『この絵が見てみたい』という人たちのニーズに応えていきたいですね。だからお客さんも探している本があるなら、遠慮せずに聞いてほしい。こっちはプロですから、うちになくてもその本がだいたいどのへんにあるとか、探すならこういう方法があるとか、そういう情報はどんどん提供しますよ」

ものづくりをする人たちをバックアップ

 一方、佐藤龍さんは源喜堂書店でアルバイトしたことがきっかけでこの業界に。そのまま社員として10年勤めたのち独立、2003年かげろう文庫を開いた。「静かで人通りがあって、喫茶店のある散歩のコースになるようなところ、それと周辺に緑があるところと考えていったら、家賃なども含めて神田が一番条件にあっていた」と佐藤さんは話す。
 贔屓にしてくれるのは、勤めていたときに知り合ったお客さんばかりではない。「ありがたいことに、新しい店の噂を聞くとすぐ来てくれる人がいて、そこからくちコミで広まっていったという感じです。そこが神田のすごいところ」
 平日は午後9時まで営業。仕事帰りに寄ってみようと思う人も多いはずだ。
 また、源喜堂書店では主にカタログづくりをやっていたためほとんど店に出ることはなかったという佐藤さんだが、「お客さんとコミュニケーションをとるといった意味でもお店という形態はすごくいい」と感じているそうだ。
■かげろう文庫:千代田区神田小川町3-26-3坂本ビル1F 
tel.03-3291-5001 
営業時間 11:00〜21:00/土祝11:00〜20:00(日休)
 かげろう文庫ではできるだけ他の店に置いてないものを集めている。だから見たこともないような面白い本が並んでいる。本を選ぶ基準はあるのだろうか。「うちの場合はとにかく絵が入っていることがポイント。写真集もそうだし、挿絵の入っている本や和本もそう。それと自分で視野を狭めないで、なるべくクロスオーバーして集めることを心がけています。古本というのは、最初から古本だったわけではなく、時間に耐えて取捨選択されてきた。何かつくりたい、書きたい、調べたいといった熱意をもった人に対して、新刊書はあまり応えてくれないんじゃないかと僕は思うんですよ。ですから、うちはその何かしたいという人のバックアップをしたい、垣根を越える手助けをしたいと考えています」
 佐藤さんは自身のことを古いスタイルの古本屋だという。「ビジネスとして、いい本さえ置いておけばぜったい売れると。古本屋さんのイメージを変えたり、読むだけじゃなくて眺めて楽しんだり、空間を提供するといった意味でのいいお店はたくさんある。でも僕の場合はあくまで主役は本。いい本を集めて、そして『店は明るく、きれいに』がポイントです。入りやすくすることはとても重要。そうすればとりあえず手にとってもらえるかなと」




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