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神田資料室

KANDAルネッサンス 75号 (2005.10.25) P.2〜5 印刷用

特集 ようこそ!アキバへ

かつて家電の街というイメージが強かった秋葉原は、いつのまにか「アキバ」と呼ばれるようになり、ベネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展では「オタク」をテーマとした日本のパビリオンが話題を呼んだ。
そして、今年3月、旧神田青果市場跡に秋葉原再開発の中核となる秋葉原クロスフィールドがオープンし、8月にはつくばエクスプレスが開通。
さあ、激しく変化するアキバへ物見遊山に出かけてみませんか。


 もともと秋葉原電気街は、戦後電気部品等の露天商が秋葉原駅近くのガード下に集められたことがはじまり。その後無線、家電、オーディオ、パソコンと時代とともに主力商品が入れ替わり、2000年頃からアニメやゲームソフト、フィギュアなどの趣味の街へと変貌した。秋葉原の変遷に詳しいカスタマー経営研究所代表の松波道廣さんに、アキバを案内してもらった。

***

ラジオ会館
レンタルショールム
免税店
 まずはJR秋葉原駅電気街口を出てすぐのラジオ会館へ。秋葉原のランドマーク的存在となっている。
「ラジオ会館は秋葉原の移り変わりの象徴みたいなところ。その昔、ここに日本で初めてのパソコンショールームができて、パソコン時代の黎明期にはパソコンショップがほとんどだったけど、今は1〜7階までほとんどホビー関係の店で占められている」と松波さん。
 1階はレンタルショーケースのアストップ。40cm四方のアクリルケースの中には、値段のついたフィギュアやテレカなどがぎっしり。売れたら店に何パーセントか支払うシステムで、場所や大きさにもよるがショーケースのレンタル料は1ヶ月数千円から。ちょうど目線の高さにあるケースは料金も高め。ショーケースを熱心に眺めるお客さんはまるで宝物でも探しているようだ。
 4階は“チョコエッグ”で食玩(お菓子についているおまけ)ブームを引き起こした海洋堂(模型会社)の直営ショップ。「本体(食)よりもおまけ(玩)がどんどん注目されるようになっちゃった。精巧さが受けたんだね」。確かに今コンビニで何か買おうとすれば、おまけつきの商品も多いし、食玩がメインの菓子類もある。海洋堂の精巧なつくりの食玩(もはやおまけとは呼べない?)はついつい集めたくなる。
 6階は京都に本社を構えるフィギュアメーカー、ボークスのショールーム。特に自分でパーツを選んで組み立てるフィギュアのコーナーは、髪、目、手、足などさまざまな種類のパーツが並んでいて、自分好みのフィギュアがつくれるようになっている。

 店を出て中央通りを末広町方面に向かって歩く。
「1993年のバブル崩壊後、ソフマップがこの通りに進出してきてから秋葉原はパソコンの街に変わったよね。ウインドウズ95の登場も拍車をかけた」
 このあたりは電気店のほかに免税店も多い。秋葉原は外国人観光客にとっても人気のスポット。秋葉原全体では20カ国語に対応できるそうだが、圧倒的にアジアからの観光客が多い。
 明神通りを渡ると角にあるのが秋葉原スモーカーズスタイル。千代田区は2002年より路上喫煙禁止となったため、タバコを吸いたくなったらここで一服。
 「明神通りを過ぎるとゲーム店が多くなってくるね」
 ゲームやアニメ系の店が林立する。右手には去年できたドン・キホーテ。これらの店の後ろにそびえたつ高層ビルは、IT産業の一大拠点となる秋葉原クロスフィールド。今年3月にオープンした秋葉原ダイビル秋葉原UDX(2006年3月オープン)からなる。
 さて、中国茶のEasy Way喜楽茶で一息。ブラックタピオカ入りティーが人気だ。タピオカの食感とジャスミンティーの相性がよい。一度お試しあれ。
 Easy Way喜楽茶の角を左に折れるとガチャポン会館。アキバ名物のガチャポンが300台以上も並ぶ。さてどの台にしようか。お目当てのものが出るまでトライしてしまいそう。

 中央通りから2本裏の通り、通称ヲタ通りをラオックスのザ・コンピュータ館に向かって歩く。ここはパソコンのパーツやジャンク品を取り扱う店が並ぶのでパーツ通りとも呼ばれる。ノートパソコンが詰め込まれたケースが並び、大型店が立ち並ぶ表通りとはまた違った雰囲気で、ここには目利きの客がやってくる。
 「以前中古パソコンを売っていたとき、お客さんがジャンク品を見ていたから、『お客さん、これ動くかどうかわかりませんよ』って言ったら、『動くか動かないかは俺が決める』って言われたね」(笑)
 平日は人通りも少ないが、土日になると露店が出てにぎやかな通りへと変身する。
 九州じゃんがらラーメンの行列を横目に少し歩くと、千代田区の支援でつくられたベンチャー企業が集まるリナックスカフェ。1階は収益率ナンバーワンのプロント。つきあたり右角に登山用品のニッピン。
 「秋葉原は基本的にインドアな街だけど、アウトドアの店は私の記憶ではここだけ。団塊の世代はみんなここに登山用品を買いにきたもんです」
 明神通りに出る角にあるのがチチブデンキで、ここの自動販売機では噂のおでん缶が売られている。牛すじ入り、つみれ入り、大根入りの3種類で一缶200円なり。食事にお金をかけずにアキバ巡りをするオタクのために生み出されたとか。
 明神通りを左に行くと、ラオックスのザ・コンピュータ館が見える。
 「1990年にザ・コンができて、これを核としてパソコンパーツの店がこの辺りに集まってきて、パソコン通りになった」
 外堀通りを左に行くと、ジャズとクラシックの超専門店、IHIMARU SOFT3。郊外では手に入りにくいスーパーオーディオCDやDVDオーディオソフトを専門に販売。7階は高級オーディオのリスニングルームとなっている。

 JR秋葉原駅昭和通り口側には、8月24日につくばエクスプレスが開業し、秋葉原〜つくば間を最速45分で結ぶ。9月16日には売り場面積8千坪のヨドバシカメラマルチメディアAkibaがオープン。アキバの街はまだまだ変化しそうだ。
アキバ探検ツアーを終えて
「いまアキバというと『オタク文化』一色みたいなイメージになっているけど、もっと多面的にとらえてもらいたい。秋葉原というのは象の体みたいなもので、ある人は尻尾を触ってこれが秋葉原だといい、ある人は鼻をさわって秋葉原だという。秋葉原の一部分ではなく、全体を見てほしい。常に最先端をいっている街だから、これからもどんどん進化していくと思うね。これからは世界的にも評価されているアニメなどのポップカルチャーの輸出が日本の経済を支えることになる。そのことを考えながら、アキバを歩いてほしい」と松波さんは語る。



アキバ的キーワード

これさえおさえておけばあなたもアキバ通! になれるかも


key word 1:Akihabara Crossfield
秋葉原クロスフィールド
 秋葉原再開発地区にそびえたつ2棟の高層ビルは、IT関連産業の拠点となる秋葉原クロスフィールド。今年3月にオープンした秋葉原ダイビルと秋葉原UDX(2006年3月オープン)からなり、産学連携、情報ネットワーク、集客、オフィスの4つの機能を併せもつ。ダイビルの産学連携フロアには企業や研究機関、大学が入居する。「クロスフィールド」という名称には、様々な領域(フィールド)の人々と様々な情報が交流(クロス)することにより、新しい価値を生み出していくという意味が込められている。

 「旧神田青物市場があった秋葉原には、もともと人や情報が集まるといった潜在的な能力があった。秋葉原はどんなものでもいったん受け入れるという柔軟性があるため、いろんな情報や価値が集まりやすい。ラジオ商だったころのアナログな部品を街のどこかに地層のように残しながら、新しいものを受け止めていく。感覚的に新しい物を受容する懐の深さが街全体にある」とクロスフィールドマネジメントのゼネラルマネージャー、山本俊行さんは話す。
 「これまでの秋葉原に欠けていたものは大勢の人が集まる空間。そのためクロスフィールドではイベントスペースやくつろぎの空間、公共の駐車場をつくる計画だ。ヨドバシカメラが開店して、今まで秋葉原に来なかった家族連れや女性、もっと一般的な客が来るようになる。クロスフィールドが秋葉原の玄関口のような役割を果たせば客も来やすくなるのではないか。現在あるアキバ系ディープゾーンほど敷居の高くないところでまず秋葉原を体験してみる。そのきっかけになればいいですね」

key word 2:Tsukuba Express
つくばエクスプレス
 今年8月24日、つくばエクスプレス(以下TX)が開通した。秋葉原駅所長の横山勝重さんによると、オープンして約一ヶ月を経た現在、秋葉原駅の乗車客数は一日平均2万5千人。当初の予想を大きく上回り、急遽券売機を増設したという。
 駅職員にはお客様の声がダイレクトに伝わってくるが、特に多いのは「パスネットの利用法を詳しく説明してほしい」というもの。今までパスネットを利用する機会があまりなかったつくば方面の方にも、料金や利用法など、わかりやすく説明を行っていくそうだ。
 また、「電車の揺れが非常に少ない、速い」という驚きの声も多い。その秘密の一つは、レールの継ぎ目が少ないこと。また、TXのレールは重さが1m60kgで、新幹線と同じ。そのため重い車両が乗っても、沈みが少ないのだという。TXの大きな特徴として、全駅にユニバーサルデザイン(誰もが利用しやすいデザイン)を採用していることが挙げられる。
 例えば各駅に設けられたエレベーターやホームの稼動柵。また、出口の表示は黄色がメイン、乗り場の表示は濃い青がメインと、色を使ってわかりやすく示している。子どものオムツ替え台を男性女性両方のトイレに設けているのも、今までにあまり例がない。
 「秋葉原は非常に活気のある街。多くの方に訪れていただきたい。そのために、駅員一人一人が明るい気持ちでお客様に接し、利用しやすい駅を目指しています。また、各駅の観光地をご紹介したり、接続している様々な鉄道と協力し合いながら、より満足いただける駅にしていきたいですね」と横山所長は話す。

key word 3:Made in Japan
メイド・イン・ジャパン
 「お客さまはメイド・イン・ジャパンへのこだわりが強い。われわれも日本で商売をしている企業ですから、日本製品を大事にしていきたいんです」と話すのは、免税店アッキーインターナショナルの常務取締役、木内剛さん。
 アッキーは秋葉原に3店舗あるが、ここ本店のピークは土曜日。一日1千人ぐらいの観光客が訪れる。来店客の6、7割は中国からで、売上げでいえば全体の70〜80%を占めるという。
 今一番売れているのはデジタルカメラ。最近ではポータブル・ミュージック・プレイヤーもよく売れる。電化製品のほかには、日本人形や化粧品(特にアイクリーム)、パンティストッキングも人気の商品だ。
 主力商品であるパソコン売り場には、パソコンに詳しいスタッフをそろえてアドバイザー的な接客を行っている。また、日本製でないと売れないため、メーカーにはパソコンの最終組み立ては日本で行うよう要望を出している。それほどアジアからの観光客には日本製に対する絶対的な信頼があるのだ。
 現在国土交通省では、外国人旅行者訪日促進戦略の一環として、2010年には1千万人の外国人観光客を呼ぼうというビジット・ジャパン・キャンペーンを行っている。秋葉原電気街振興会でも、3カ国語(英・中・韓)の秋葉原エリアマップを作りホテルや大使館、駅、空港等に置いてもらうなど、今まで以上に世界中から観光客を呼び込もうと街ぐるみで盛り上げている。

key word 4:Figure
フィギュア
 フィギュアショップ、ボークス秋葉原ショールーム(ラジオ会館6階)内には、「天使のすみか」と呼ばれる特別な空間があるここは印象的な大きな瞳と透き通るような肌をもつスーパードルフィー(以下SD)を専門に扱う店。客はSDを購入するとは言わずに「お迎えする」と言う。客にとってSDとはまるで家族の一員であるかのように、愛情をそそぐ存在なのである。
 「ドルフィー」とはボークスの造語で、フィギュア的な表現(アニメ等のキャラクターを立体化したもの)と、ドールの自由さ(着せ替え人形的な楽しみ)を兼ね備えた球体間接人形のこと。それまではいわゆる子ども向けの着せ替え人形というのはあっても、趣味として自分好みの人形を作り上げていくという発想はなかった。
 SDは体長60cm、重さ2kgで、顔やボディ、髪型、目など何万通りもの組み合わせが可能だ。着せ替え人形的に楽しむことはもちろん、自分好みにカスタマイズしながら自分だけの人形を作ることができ、その発展性の自由度が人気の秘密だという。
 「秋葉原という街は、真空管や自作ラジオなど、昔から趣味に対して最先端をいっているというイメージがあった。その時々の最先端の趣味をもつマニアックな層をつかんでいる。最近であればコンピュータであったりゲームやアニメであったり、その流れのなかにホビーがあると思う。秋葉原はホビー好きが集まりやすい街。でもそれぞれのアンテナに合うものは違う。我々はより広く様々な顧客のニーズに合うものを提供していきたい」とボークス、関東統括部長の梶原英督さんは話す。

key word 5:Maid cafe
メイドカフェ
 数年前から秋葉原に出現し、現在では全国的に広がりつつあるメイドカフェ。その人気の秘密を探るべく、二つの店を訪れた。まずはメイドカフェの老舗ともいわれる人気店。店員の女性がメイドのいでたちをしているほかは、一般的な喫茶店と特に変わらない。メイド服は店によって様々なバリエーションがあるようだが、こちらは黒が中心でデザインも可愛らしい。
 客層は20代〜30代の男性が中心だが、意外に女性客も多い。メイドカフェマニアらしき常連の姿も多く、メイドと談笑している様子は本当にうれしそうだ。接客はとても丁寧で、彼女たちが「メイド」役に徹しているという印象を受ける(ちなみにここで女性客は「お嬢様」と呼ばれる)。女性でも気兼ねなくゆっくりできるし応対も丁寧なので、なかなか居心地良い空間だ。
 もう一方は接客もごく普通。客層も幅広く、メイドカフェマニアらしき客はほとんど見当たらない。やはりマニアはよりこだわりのある店を選ぶのだろうか。
いずれにしても、一口にメイドカフェといっても雰囲気は様々。いろいろ巡ってお気に入りを見つけるのも楽しそうだ。

key word 6:Akihabara's reception room
秋葉原の応接室
 JR秋葉原駅となりのビル2階にある「古炉奈」は、1966年に開店したカフェ。ゆったりとした広い店内には静かにバロック音楽が流れ、窓の外の喧噪とは別世界の空間だ。
 ゆっくりとくつろげるよう、店内のイスやテーブルには松本民芸家具を使っている。深い色合いで、座り心地がとてもよい。
 またコーヒーは厳選された炭火焙煎豆を、一杯ずつ丁寧にドリップする。ウェッジウッドやレノックスなど、欧米の美しいカップを使うのもこの店のこだわりだ。
 「秋葉原の応接室のような存在」と店長の中村さんが言うように、昼間は商談に使う人も多い。夜はジャズとともにお酒も楽しめる。秋葉原散策の合間に、ぜひ足を運んでみては。
■外神田1-14-3電波会館2階
■tel.03-3251-5359
■営業時間 10:00〜22:00

●Akiba's book guide●
ブックカイド
 昭和通り口に位置する書泉ブックタワーの一日の利用客はおよそ4〜5千人。30歳前後の男性が多いため、若い男性向けの本がよく売れる。秋葉原に進出して11年目を迎えるが、ウインドウズ98の出現によりアニメ等の店が増え、若い客が多く集まるようになったと店長の板谷さんはいう。
 昨年ライトノベル(表紙等にアニメ風のイラストを多用した娯楽小説で最近人気がある)フェアを企画した売場担当者は、ライトノベルを小さく定義せずに、面白い作品があれば有名無名を問わずどんどん仕掛けていきたいと話す。
 アキバをもっと知りたい人には、「Nekomook今日からはじめる秋葉原」(ネコ・パブリッシング)、『ポピュラーサイエンス日本版(特集:アキバ研究)』Vol.59(トランスワールドジャパン)、「アキバ・萌えマックス」(竹書房)がおすすめだ。


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