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KANDAルネッサンス 78号 (2006.07.25) 印刷用
表紙◆「神田日和」のこぼれ話4

高橋神二さん (紋章上絵師)

いさかかつじ

 「どこの家に行ったって紋があるでしょう。こんなとこ世界中どこにもないよ」と、株式会社紋神の紋章上絵師、高橋神二さんは言う。なるほど、あまり身近にあると、その価値に気がつかないものだ。仕事場は神田駅西口のすぐ前のビルのいちばん上にある。生まれてからずーっとここに住んでいる。今回の取材は、なるほど、なるほどの連続だった。

その1 紋章上絵師って?
 「職人、職人っていうけどさ、ひとつの物が仕上がるまでには、多くの人たちがたずさわってるんだよ。着物の場合、白生地を着物の形に切って柄が合うように描く。着物ができる前に描くから下絵。その仕事をする人を下絵師。そのほかに仕立てる人、染める人、模様を描く人がいる」
 洋服の裁断と違って着物は反物を横に切り、各部分の四角形の組み合わせを縫ってつくるので無駄が出ない。
 「染め上がった布地にじかに紋を描くから紋章上絵師」なるほど。知らなかった。

高橋神二さん
その2 その技は?
 白く抜いた紋の形のところにガラス棒と溝引き定木を使って直線を、分廻し(竹製のコンパス)で曲線を、たぬきの毛の筆で描く。
 「墨は安くてサラっとした濃いのがいい。いい墨はにかわが多くドロッとしているから筆先からいかない」「切り付けといって、紋が変わったり、古くなった時、縫い入れるのも紋屋の仕事」と細〜い針に、細〜い糸をメガネもかけずに一発で通してしまった。
「分廻し、筆、墨、針、糸など、これらの材料屋がなくなったら仕事ができなくなるね。ま、時代が変われば新しい技術が生まれてくるけど」なるほど。

その3 神田って?
 「江戸城を中心にして麹町や番町などお濠っぱたに大名屋敷ができ、その外側に着る物などの物を作る人たちが集まった。それと小石川の療養所。学ぶ人が集まると本が必要になる。本を作る人、印刷、製本、売る人が神保町あたりに集まった。それが神田なの」なるほど。

その4 職人の町って?
 「自分の仕事が仕上がると次に運ぶんだけど、昔は日が暮れたら真っ暗闇で、しかも交通の便がない。だから隣近所に次の作業をする職人がどさっといるんです」なるほど。
父の繁三さんが大正9年に開業。昭和53年に神二さんが後を継いだ。「親の仕事を継ぐのは当たり前。嫌だなんて言ったら、ぶっ殺されちゃう。職人は教えませんから、見てろってなもんで、たまに言うひとことにガーンとこなけりゃ駄目だね」なるほど。

その5 ご家族は?
 「職人の女房は小まめに働くんだよ。おやじが動き回ったり、表に行ったりしたりしたらお金になんないでしょう。座らせておきたいんだよ」なるほど。跡継ぎは息子の正彦さん。今はほとんどまかせている。猫のチーちゃんも家族の一員。

その6 神二というお名前は?
 「神田で生まれた次男坊だから神二。単純でしょう」と笑って教えてくれた。なるほど。
 「江戸っ子だから、ことばが乱暴で御免よ」いえいえ。


いさかかつじ・町と人を訪ねるイラストレーター
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