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KANDAルネッサンス 64号 (2003.01.25) P.2〜3 印刷用

特集 新春対談

 

「二〇〇三年は千代田が主役!」

石川雅己千代田区長×内田都議会議員
聞き手 久保金司(NPO法人神田学会副理事長)


———新年あけましておめでとうございます。今年は江戸開府400年の年、そして石川区長にとっては3年目の区政を迎えることになります。昨年秋に、千代田区は全国に先駆けて生活環境条例を施行しました。こちらについては相当来街者にも浸透していっているようです。何かと話題豊富な1年になりそう気配を感じておりますが、今日は新年の豊富を交えて、気楽に、普段着感覚で日ごろの思いを語っていただこうと思います。

石川区長(以下石川) あけましておめでとうございます。神田のことと言えば、私よりも皇居のお堀で釣りをしながら少年時代を過ごした内田さんにまず、一言いただきましょう。
内田都議(以下内田) あけましておめでとうございます。神田、そして千代田はいろんな意味で私の故郷です。まず、江戸開府以来、先人達が多くの財産を残してくれています。しかし、興味がないとそのありがたみや偉大さ、そして感謝の気持ちは湧いてこないものです。私自身、区政、都政という社会経験を経てから千代田を客観的に見ることができ、その時に「あぁ、千代田区ってすごい所だな、おもしろいな。世界に誇れる街だ」としみじみ感じられるようになったのです。今日まで地域内でそれぞれの歴史があって、その時に存在した人達によって歴史は創られてきたのだと思いますが、先人達もきっとそうしてきたのですから、生意気だけれども、私達もここにしがみついて役割を果たしていきたいです。そこで求められるのが人材です。石川区長さんのような人が来てくれたことは、とてもいいチャンスですよ。
千代田区の宝さがし
———そうですね。今とてもいい風が吹いていますね。
石川 歴史などは受け継いでいるはずですが、実は知っているようで知らないこっって案外多いものです。400年ここに住んでいた人達もあってこそ今があるということを忘れてはなりませんし、千代田区は歴史・文化の発信元であることも忘れてはなりません。そして、今後の街づくりにこの観点を見逃してはなりません。私は(生まれが)千代田の人間でないだけに、他の地域との違いが良く見えるような気がします。
———なるほど。ずっと同じ所にいると分からなくなることは多いです。井の中の蛙じゃないですけど。例えばお祭りにしても、毎年同じことを繰り消していると本来の価値が分からなくなりがちです。おまけに、神田っ子は表現ベタですね。
内田 確かに、僕らも含めて(笑)。ただし基本的な単位である町会の存在は地域コミュニティの基礎になっていることは絶対です。神田には来街者の多い近隣の都市とはまったく異なる文化が形成されています。相互補助という、古いしきたりが今も大切にされています。一般的な冠婚葬祭などは、住民の少ない都市部でありながらきちんと成り立っています。
———そうですね。街中で結婚式をあげたカップルもいるくらいですし。
内田 そう。こんな街ほかにはないですよ。これが神田の底力なのです。400年来の大きな成果なのです。常日頃私は、もっと生活に密着した部分での分権が必要だと思っています。行政は、地域の方の要望にきちんと答えていけるサービスをしなくてはなりません。これが私の政治の基本なのです。新年の豊富はすべてこのことが底辺にあります。そこへ政策的に何を乗せていくかということです。
———そういう意味では昨秋、生活環境条例を施行された区長の一挙手一投足は、内田さんにとってはとても刺激的では?
内田 そうですね。これまで23区が一体となった自治制度の改革が実施されてきました。しかし千代田区はどちらかというと、その恩恵は受けていません。そのような中でどのような政策を作っていくか、石川区長の腕の見せ所と言って良いでしょう。私が拝見する限り、区長はその方面に長けていると思います。
千代田区はまだ自立していない?
石川 いや、私は別に評論家でもありませんし(笑)。しかし、長年千代田区に住んでいる人が感じる生活感は、まだ分からないことばかりです。区民は私のことを同じ千代田区民としてではなく、「区長」として見てしまっているので、やはりそれが消えない限り無理ですよ。
内田 だから、千代田における最大の課題は、違った側面から現状を見ようとしないこと。石川区長は千代田に住んでいなかったことが、強みでもあり、また弱みでもあるのです。
———そういう意味では区長は「ふらっと区長室」を設けるなど。区民の目線で丁寧に取り組んでいらっしゃますね。
石川 ありがとうございます。地域に住んでいる人達は、時代と共に生活スタイルを変えてきました。一般的に人間は、物事を変えることに抵抗感が働きます。変化に敏感ですよね。しかし、その変化が社会を変える要素になることもあるのです。そのことに今理解をいただくのに時間をかけているのです。
———これが、革新していくということになるのですね。
内田 政策を挙げた以上は、具現化していく力が必要です。なかなか難しいでしょうがここでの先見性が政治家に求められてきます。
———それが大変ですね。
内田 ある意味で私達の世界は、いつもロマンを追求していると言っていいでしょう。ロマンがないと、自分に納得いく仕事などできませんよ。
石川 そうです。でも、決断すべき時は早くしないとなりません。今、都心再生でスポットがあたっていますが、全体の動きとして千代田の街づくりをしかけることが必要です。各地域に「しかけ」はありますが、部分でしか見えないので、全体が見えるようにしていくことも大事です。ですので、私はその全体像を推挙し、今すでにある「マスタープラン」をもっとブレイクダウンさせた「グランドデザイン」を打ち出していきたいと考えています。
———そこへ、地域住民がうまく参加してくれるといいですね。
石川 はい。実はそれが一番難しいのです。抽象論ではその方法はいっぱいありますが、「役所が決めたから」ではなく、役所からの呼びかけは、ひとつのきっかけとして受け入れていただけるといいのですが。
内田 私は区議会に入った時、福祉や商店街の活性化といった一般的な問題から取り組んでいきましたが、都心は、政治・文化・経済が蓄積している所。都心ゆえに今後の姿が期待、注目されています。ここで大事なのが、大都市のコア部分をどのようにしていくかという。これが周辺地域の街づくりを考えるきっかけになるのです。国際としにふさわしい核、つまり千代田を創るのが私のライフワークでもあります。
———お話をうかがう限り、お二人の夢が叶えられる環境ができあがりつつありますね。千代田の未来が見えてくる感じがします。
内田 点と点がいつかは線で結ばれ、帯になっていく。そしていくつかの帯が互いにリンクして都市を創っていくことが望ましいですね。そのためにも、自分の街のことという自覚が区民のみなさんにも芽生えると、きっとグランドデザインも生きてくるでしょう。
———意識はあると思いますよ。街の人達は商売を継承していけるかどうか、悩んでいます。切実な問題です。
石川 本来的には、この土地で再生していくのが一番良いのでしょう。目先の利益にとらわれることはある程度しょうがないと思います。大切なのは、時間をかけるといいものができるということをどのように分かっていただくか。特に街づくりはいい例です。
内田 よその地域ではできない神田の特性があるものです。いわゆる差別化が大切。いつかおいしい果実が実るというくらいの気構えで取り組むべき課題ですね。
———なるほど。そのようなお考えを区長をはじめ、議員が地域へアピールしてくれないと!
石川 千代田区は大学や優良企業が集まり、知恵を出せば何かができるポテンシャルがあります。潜在的な千代田のポテンシャルをふどのように引き出すか、問題は、職員自体の頭の切り替えから始めなくてはなりません。
———それはなかなか容易ではないですね。
石川 確かに、私自身60年生きてきた中で染みついたやり方で進める方が楽です。でも区の中でも変えることが当たり前になって欲しいものです。具体的に形になって見えてくると、人は誰でも自信がつきます。
———昨秋の「生活環境条例」良い例ですね。「街がきれいになった」と明らかにわかりますし、職員もパトロールのおかげで、ずいぶん積極的になった印象を受けます。
石川 一般的に企業は、社員全員が営業マンになったつもりで、自社を売りこんでいきます。職員にその精神を鍛えて欲しいのです。与えられた仕事だけをしていればいいという時代ではないのです。
———ものすごい意識改革ですね!
内田 自分たちだけが運営しやすい組織は、区民のためのものではないのです。
石川 これからは、ますます自己責任というものをきちんと追及しなくてはなりません。つまり、自らの中身を詳らかにしながら理解をいただき、既存のものを変えていくということ。究極的には、自立するということは誰も助けてはくれない。そのためにも財政的基盤を確立しておかなくてはなりません。
今年は観光都市元年
———さて、今年は江戸開府400年の年であり、いろんなお祭りが企画されています。千代田区はこれをきっかけに、観光都市へ飛躍しようとしていますね。
石川 そうです。千代田には良いスポットがたくさんあります。来年も継続していける事業を展開していきたいですね。できるならば東御苑や皇居前広場、さらには日比谷公園や丸の内仲通りを使えたらふどんなにいいでしょう。
内田 23区それぞれに観光協会がありますから、そのような機関をうまく活用しなくてはなりません。東京都は今までの数倍にあたる観光予算を出していますし、観光部という部署も新たに設置しているほどの力の入れようです。ある意味、今年は都市観光元年といえるでしょう。その中でも千代田区が一歩先に進んでいって欲しいものです。
———本当ですね。千代田には皇居があり、歴史的遺産があり、すべて観光資源になりますよ。
内田 どちらかというと、今までの千代田区はおっとりしていました。先人達が築いてきた遺産をどのように生かしていこうか、ようやく気づき始めている感じです。
———日本のシンボルである皇居を楽しむことができる企画を期待したいです。そうすれば、周辺飲食店も活性化されるでしょう。
石川 桜のシーズンの来街者は100万人を越えています。しかし千鳥ケ淵周辺にある飲食店はお客を引きこむ力がまだまだ弱い。千代田区はまだ危機感薄いのかもしれません。もしくは危機意識あってもセールスポイントを見出せないでいるというのが私の印象です。これは何とかしなくてはなりません。
———そうですね。
これからの時代は自分さえ良ければ、という独り善がりの考えはまかり通りません。街が元気になれば自分たちの生活も潤うという相乗効果が生まれると、きっと千代田の街は「ホスピタリティ」に溢れた街へ成長していくことでしょう。
本日は、お二人のご意見をお伺いし、とても活力が沸いてきたような気がします。どうもありがとうございました。
(ホテルエドモント「平川」にて)


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