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神田資料室

KANDAルネッサンス 70号 (2004.07.25) P.140 印刷用

神田学のおケイコ VOL.5

—神田化けくらべ—

文と写真:湯川恵子

 以前タクシーの運チャンが面白いことを言っていた。時々「お化け」を乗せるのだそうだ。何てことはない予期しないところに現れる遠距離利用のお客のことだそう。運悪く終電を逃した熱海や三島に帰るサラリーマンなぞはむしろ福の神に近いと思うのだが…。
 化けの本家といえば、やはり狐か狸と昔から相場が決まっている。「狐七化け、狸八化け」と言うように化け比べでは狸が一枚上手のようだが、狐だって負けてはいない。神田川柳原土堤にある柳森神社には狐と狸がしのぎを削りながら参拝者にご利益を授けてくれる。柳森神社は、五百余年ほど前江戸城を建てる際に、鎮護鬼門除けとして京都の伏見稲荷大明神を御祀りしたのがその由来。その際に神田川の土手一帯に柳の木をたくさん植えたのが柳森神社の名前の紀元だそうだ。お稲荷さんはご存知のとおり、商売繁盛の神様。江戸時代にはこの辺りもすいぶんにぎわっていたようだが、現在は週末ともなると人通りはまばらで、野良猫が境内でのんびり昼寝をしていた。
 お参りを済ませ神社を出て右手へ。のこぎりと板片をもったおじさんが目の前に出現。聞けば『刺繍屋』の店主吉田さんで、注文の木札を切り出していたところだった。この店では、大小様々な木札を作ってくれるというのでわたしも1つ注文(大小共に2500円)。手作業でひとつひとつ形を作っては漆で文字を書いているので完成は後日。出来上がった木札は携帯ストラップにも、根付にも、と使用幅は広い。背広などに刺繍で名前を入れるのが本業で、木札は趣味で始めたとのこと。
 いろいろ話を聞いていると、奥から神田祭のために誂えたというン万円のまつり半天を引っ張り出して見せてくれた。「紬の半天とはさすが」江戸っ子はその名に違わず粋で気さくだった。三代住まねば江戸っ子にはなれないというが、吉田さんに一蹴された。「色んな事情で神田を去る人は多い。三代住まなくたって、要は気持ちのもちようだ!」なるほど、私も江戸っ子に化ける日は近い、か?!


湯川恵子(ゆかわけいこ)
正真正銘の江戸っ子で吉田さんゆえにと、前回のおケイコで書いた『神田立花亭』のことを聞いてみた。さすがに今となっては昔のこと。でも「町会長なら知っているかも知れねぇからいつでも紹介してやるよ」と。読者の皆様からの立花亭情報もお待ちしています。神田学会事務局までご一報を。(神奈川大学大学院経営学研究科在籍、小田原在住)
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