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KANDAルネッサンス 63号 (2002.10.25) P.4〜5 印刷用

特集 若者が見る神田2

学生諸君による神田まちあるきと都市再生プラン
〜第119回神田学会より〜

三菱地所株式会社 都市計画事業室 大國 道夫
都市基盤整備公団 研究役 横堀 肇


「若者よ、街に出よう」
 昨年より明海大学不動産学部にて都市計画の教鞭を取っております。学生はほとんどが文系諸君ですので、技術的な面から都市計画を提案するというよりは、実際に街に出て、目で確かめ、肌で触れ、臭いを嗅いで街の個性を体感してもらいたいと考えています。そこで今回神田多町を中心にまちあるきを実施しました。学生達の意見には、所々に歯に衣着せぬ意見や荒唐無稽ともいえる再生プランもあったりしましたが、確実にいえることは学生の意見や提案はどれも、ストレートに今の神田の問題点を指摘しているということです。
 神田再生プランをご紹介する前に、まちあるきで神田に対する印象をアンケートにしましたのでご紹介します。
 アンケート結果でおもしろいのが、「働きたい街」として神田を選んだ学生が半数に及んでいるにもかかわらず、半数以上の学生が「神田には住みたくない」と言っていることです。その理由に「ごちゃごちゃしている」がトップに上がっていますが、これはきっと神田駅周辺のことを指しています。
 今回まるあるきを通して痛感したのは、学生達は街の印象を、あるひとつの町とか、路地から路地の間という狭い空間で判断するのではなく、かなり複合的な要素、視点を取り入れながら街を見ているということです。その意味では多町という狭いエリアでのまちあるきでしたが、彼らは多町を、神田駅および駅周辺の店の風景、駅から伸びる多町大通り、そして多町を取り囲む周辺街区(老舗街など)という具合に、総合的に見ているのです。その中でも神田駅周辺の環境は悪い印象が強く残ったようです。神田にやって来た観光客や外来者にとっては、初めて降りた駅周辺の印象は、意外と鮮明に目に焼き付いて残るものです。それと同じように、学生達は神田駅周辺の環境に対して、もうレッドカードを出しているのかもいれません。
 しかし、悪い点ばかりではありません。学制達が口をそろえて主張しているのが、「神田らしさ」、江戸文化の残る街に対する憧れや古さを生かすということです。神田の将来は、「新旧の建物の共存」という学生が多いのもその理由のひとつかと思います。しかし、すでに神田は新旧の建物が「共存」ではなく「混在」してしまっています。彼らの言う「共存」とはそのようなものなのでしょうか。いろいろ提案があった中から3つの再生プランを紹介しましょう。

プラン1 「神田多町市場 人口地盤によるまちづくり」
 こちらは、神田の文化を街に取り入れたプランです。その文化と「神田多町市場」の復活です。図面の右上に走っている黒い部分がまさにそれで、名付けて「職人通り」。
オフィスや学校や公園、住居などの複合体に神田らしさ=城下町・市場・祭りを復元するというプランです。

プラン2 「古い街と新しい街の立体構成」
 これは、もう現実的には無理に近いプランかもしれません。でも考えとしてはとても素直なもので、「神田はこうあるべき」というイメージがとても強く表現されています。神田のあるべき姿、すなわち古い家並みが持つ下町情緒をそのまま地下に維持し、地中を支える太い柱のその先には、超高層ビル群が聳える地上が広がっています。マンガの世界のことかもしれませんが、古いものを残すという意識がこのような再生プランとして誕生したわけです。若者の突飛な発想ですが、夢があります。
 さて、今までのプランは神田の一角をターゲットにしたものでしたが、ここでひとつ注目したいプランをご紹介します。

プラン3 「江戸文化活用3地域」
 今までの再開発はどうしても縦割り的発想が強かったと思われますが、こちらは、神田をとりまく地域の特性をも取りこんだ再生プランです。「神田・日本橋」と「上野・浅草」、「両国・深川」という3つの地域を江戸文化という大きな枠で捕らえた訳です。
 この3つの地域にはそれぞれ独自の地域文化が根付いています。このトライアングルはとてもバランスの良い相乗効果を生み出せます。例えば、和を意識した街並みを形成させ、循環バスが走る観光ルートを作ることも可能です。和の街並みはイラストにもあるように、格子戸や木造の建物が庭を囲むように並び、落ち着いた雰囲気を味わうことができ、やがて観光の都市として3つの街の性格付けも明確になります。
これからのまちづくりの視点は、一つの街だけの問題として考えるのではなく、横(つまり隣接する街)との相乗効果が重要視されていくでしょう。ぜひ、実現させたいと思います。

若者の発想を生かすのは。
 私は今回のまちあるきを通して、学生達の意見を授業の中だけで終わらせず、世の中で役に立つのだということを伝えていきたいと思います。レポートを完成させることだけが勉強ではなく、どのように社会に受け入れられ、また批評されていくのか、そして最終的にはどのように自分達の考えが社会に役立っていくのかを学んでほしいのです。特に神田学会のような場が若者達の意見が発表できる場となり、みなさまからのストレートなご意見や提案を交換し合い、この場から新しい都市再生プランが誕生することを期待しています。そう言う意味では、神田学会は参加するというポテンシャルの高い場にすでになっています。
きっと実現できると思いますし、今後の活躍に期待したい。

●現在、東京都は都市計画に民間の発意を活かせる新たな仕組みを検討し始めています。
その中に、民間まちづくり団体の登録・支援制度が創設されます。今回の学生諸君のような創意工夫に富んだプランが行政の支援のもとに、成長し実行させていくということは、まさにNPOなどの民間団体の使命ではないでしょうか。

アンケート集計
Q. 神田で働きたいか?
  はい 23名  いいえ 15名
Q. 神田に住みたいか?
  はい 12名  いいえ 26名
Q. 住みたくない理由
  ごちゃごちゃしていて、うるさい 5名  空気が汚い、緑がない 4名  魅力がない 2名
  住みのくそう 5名  新しい人が入りにくそう 2名  その他 11名
Q. 住みたい理由
  生活に必要なものがある 2名  古くからの伝統がある、下町的 5名  
  交通便利 1名  その他 2名
Q. 神田は将来どんな街になるか?
  古い建物がなくなり、高層ビル化する 10名  良い街になる 9名
  古い建物文化と新しい開発の共存 12名  このままだと悪くなる 2名  
  わからない 3名  その他 2名


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