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神田資料室

KANDAルネッサンス 71号 (2004.10.25) P.160 印刷用
神田のいろどり25

柳の清水門

坂野 豊

 都心の仕事場ということで、緑が少ないことを気の毒がられたことがしばしばある。区内には、そういった地域もなくはないが、こと九段下に関しては、皇居、北の丸公園、靖国神社、神田川を越して小石川後楽園と、緑に水を取り込んだ四季折々の自然に恵まれていて、ご心配はありがたいが無用である。
 なかでも、日本人の大好きな「桜」のシーズンともなると、都心でありながら、わざわざ地方からバスを連ねて花見客が押し寄せ、靖国通りの一車線はバスの列で完全に占領される。地下鉄・九段下駅から千鳥ヶ淵への歩道は、大混雑を繰り返しているのが例年だ。
 地元の利で、花見の季節は早朝散歩に切り替えて人ごみを避けられるし、何より一年を通して自然の変化を静かに楽しめるのだから、世間の人様に対し、勿体ないやら申し訳ないやらというのが実感である。
 桜もいいが、その季節の柳は格別である。花の開花直前に、いさぎよい一時を迎えるように、芽吹を急ぐあのやわらかな若緑の美しさは、例えようのないものがある。清水門を出て、右折、柳の清水濠を竹橋に至る散歩道は、短いが殊にお気に入りのコースで、風とたわむれる柳に触れながら、思わず小さく口笛も出てしまう。
 北の丸公園・武道館方面への田安門では、通年、様々なイベントの行列を何度も目にするが、ここ清水門は、どんな時でも凛とした気品を漂わせ、どっしりとした構えを見せてくれる。
坂野豊 グラフィックデザイナー
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