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神田資料室

KANDAルネッサンス 62号 (2002.07.25) P.6 印刷用
新シリーズ
21世紀を拓く 神田企業最前線6

神田発 国際企業への挑戦
探偵ホームズ流、突破口脱出法

(株)クールサイト・エス・アイ 石井義則社長

千代田区神田須神保町3-10 神田アメレックスビル
理論はある意味で理想を表している。だから大事ななんですね。
土台がしっかりしていないと、まず使いものにならない。

 ソフト開発の上で、いちばん大事なのは調査過程におけるコンサルティングだと思った。そして石井社長のつぶらな瞳を見ているうちに、コンサルティングとは、なぜか探偵業に通じる職業だと感じた。シャーロック・ホームズではないが、たとえ事件が起こらなくても常に身辺に眼が行き届いているということが肝要なのだ。そしてそのためには発見する眼がなければならない。
 実は、会社というのはいつも事件に満ちているともいえる。そして知らず知らずのうちにある方向に歩き出していることに身内が気付いていない場合がも多い。これに対する取材と分析。これが経営ソフト構築の命であった。
 石井社長は失礼ながら、顔で得をしている。そう見ても探偵には見えないやさしさがその笑みにあふれているからだ。
 しかし、やさしさだけで解決は生れない。表面の柔らかさの裏にある明晰さ(クール)、これに裏打ちされた分析力。これが石井社長の実態だ。こういう武器を彼は背広裏のホルスターに忍ばせていたのであった。
 つまり、人間的に暖かくかつクールであるということ。この一見矛盾する要素を両面具有することは誰にでもできるものではない。優秀なコンサルタントの最強の要件はここにあった。
 現在は、会計・販売・受発注などの業務用ソフトウェアを中心にさらに事業を拡大中だ。そしてその理念は、最終的にはやはり基礎理論に帰れということだという。「机上の空論という言葉がありますが、理論というのはある意味で理想を表しているのです」。したがって、この理想と現実分析結果を、いかに料理するかというところに石井流ソフト構築の真のダイナミズムがある。
 依頼があると、まず会社の現状を徹底的に洗い出す作業から始める。そして、本当に指向しているのは何かを探り出すのだ。そんなことは分かりきっていると大方の経営陣は考えている。しかし意外と何を欲しがっているかという根本が漠然としている場合が少なくないという。そしてこれを現場サイドまで掘り下げていく。すると、ここで例外なく表われてくるのが現場からの反発である。しかし石井氏はここに現状の突破口を発見するのだ。これを避けて活きたプログラムは生まれない、「実際に使用するのは人間です。コンピュータや器械ではない。ですから基本は人間対人間です」
 この辺りが荒川下町育ちの石井氏の面目躍如というところだろう。神田は歴史が刻んだ街という感じで、街なみも落ち着いている。最高ですよと語る。趣味も幅広い。ウインタースポーツはスキートスケート。「冬山頂上の凛とした空気はいいですね」。そして家庭では音楽という憩いが待っている。それも自ら楽器をこなす。ギター、トロンボーン、クラリネットを手掛けるという。しっとり落着いたクールな音色の楽器ばかりだ。
 現在社員は12名、全員が技術者。そのベテランに混じって若いシャーウイン君が最近一人加わった。国費留学生関係団体からの紹介で、フィリピンの優秀な大学を卒業した後来日したのだが、当初はまったく日本語をしゃべることができなかった。「今はね、日本語の勉強だけしていればいいんだ。コンピュータはやらなくていい」。当時社長はこう言った。
それにしても彼の頭脳は驚異的だ。わずか4カ月で日本メンバーとすっかりうちとけて、日常会話は何の問題もないという。こうして国際化は内部から進行しつつあるが、社長の夢の究極は、海外進出を果たしたいということだ。フィリピンセブ島は大学の島。通信インフラも揃っている。ここに開発センターをぜひ作りたい。そのためにまず、会社の安定を確実なものにするという手堅さも石井流であった。
(写真と文・中西隆紀)

中西隆紀 写真と文
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