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神田資料室

KANDAルネッサンス 61号 (2002.04.25) P.160 印刷用
神田のいろどり15

書肆 埋れ木

中西隆紀

本の海に浮かぶ船室書斎
 駿河台下マクドナルドを神保町方面へ一つ目、この角を曲って水道橋方面へまっすぐ行った露地にこの古本屋さんがある。
 開店は一年前と新しいが、最近古書店にも、こうした洒落た造りの店舗が増えてきたのは神保町にとっても望ましい。パリはセーヌ左岸、ロンドンはチャリング・クロスではないが、どこかヨーロッパの香りがする。
 ショーウインドウの丸窓が印象的だ。このガラス越しに奥の書棚が見える。前景に本、遠景に本、その中に入るのに一段下がる。店舗全体が路面より一段下がって「埋もれて」いるのだ。この安定感はまさに船のキャビンを連想させる。そして、神保町という本の海に浮かぶ船室書斎は「近代文学」に埋もれていた。
 それも、コレクターにとっては垂涎の本ばかり。鏡花、荷風、鴎外、漱石からはじまり、中原中也「在りし日の歌」(30万円)まで、かなりマニアックな作家も品揃えが豊富なのにはびっくりさせられた。
 その他「新青年」などの雑誌、書簡、色紙、原稿などもあり、初版本などにも力を入れている。すべての本にカバーをかけているところなど本に対する愛着は並ではない。

●千代田区神田神保町1-20-3
中西隆紀 フリーライター
1947年、大阪生まれ。多摩美術大学油画科卒。神田で『本の街』を創刊。『神田300年地図』発行。著書に「幻の東京赤煉瓦駅—新橋・東京・万世橋」(平凡社新書)。
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