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神田資料室

KANDAルネッサンス 58号 (2001.07.25) P.160 印刷用
神田のいろどり14

工房「HOSONO」

中西隆紀

昔、人力の幌 今、アウトドアの館
 万世橋の手前を横に曲ると、ビルの谷間のショーウインドウから明かりがもれる。その小さなスタジオの奥でミシンを踏むひとりの女性。ずらりと並んでいるのは、いわゆる昔のリュックサック。これが今や新しい。さくっとした手ざわり、これが綿帆布独特のなつかしい風合いだが、最近また見直され始めている。
 大航海時代は帆船の帆としても使われた綿帆布。こうして船は大洋に乗り出していく。何となく海の香りがしてきそう。そう思って、ふと壁を見ると南極観測船の写真がかざってある。バック屋さんになぜ南極観測船の写真があるのか。
 「昔はね。ウチのテントが南極まで行っていたんだよ」
 こう語るのは細野商店三代目の細野昌昭さん。そう、元はテント屋さんだったのだ。この界隈は元々生地問屋や羅紗屋さんが並ぶ一大問屋街であった。
 そんななかで、昔は人力車の幌や、車夫のカッパなどを造っていた。大正元年の創業。そして今、幌からテントへ、そしてバッグというのは世の流れに呼応した自然の流れとしてうなずける。
 昔は明大・日大・中央と大学の山岳部の海外遠征隊の特注テントもつくっていた。今でも注文に応じてデザインなど相談に乗ってくれる。
 アウトドア指向のかわいらしいお店はこうして華麗なる変身をとげたのである。

●千代田区神田須田町2-23 TEL03-3251-4421
中西隆紀 フリーライター
1947年、大阪生まれ。多摩美術大学油画科卒。神田で『本の街』を創刊。『神田300年地図』発行。著書に「幻の東京赤煉瓦駅—新橋・東京・万世橋」(平凡社新書)。
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