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KANDAルネッサンス 31号 (1994.10.20) P.1〜3 印刷用

特集 リバーループ東京

地域博物館構想

千葉工業大学土木工学科水工研究室 前島昌周
街の象徴を結ぶ
 高度成長期において東京の建物は乱立し高層化が進んでいった。東京は発展し便利になったが、街並は複雑なものになった。どこの街並も似たようなものになり、街の個性が失われていった。
 昔、街には象徴となるよう建物があり街の個性を演出し、それによって活性化し親しみのもてる街を形成していた。だが、街が複雑になるにつれて街の象徴が街並に隠れていき、街の個性が失われていった。また開発を優先した都市計画により自然もないがしろにされてきた。高度成長期が過ぎた東京において、まわりの環境は住むのに適しているかを考える時に来ている。
 そこで、街の個性が失われないようにするための方策として、街の象徴となる建物や風景などを遊歩道で繋ぐ計画を行った。街の象徴を結ぶことにより地域全体に個性を持たせて親しみやすい街をつくるのである。また、快適な歩行空間をつくることにより、人に優しい居住環境を作ることが出来る。21世紀に向けて都市は、どうあるべきかを考えてみる。
「地域博物館構想」とは
 地域を博物館に見立て、街の個性を再認させる「地域博物館構想」を提案する。
 この構想の基本理念は第一に、街の特徴を理解し、発展させる力を生み出すということで「回遊性のある街づくり」。第二に、人に優しい居住環境をつくるということから、「歩行者中心の街づくり」。第三に、広範囲にわたる地域博物館構想では新しい発見をするということで「新しい発見の喜び」。という3つの理念からなる。どの理念も「親しみのもてる街づくり」を根底においている。
 また、地域の個性を浮き上がらせるためにランドマークのを遊歩道で接続する。地域の象徴となる建物や風景などに連続性を持たせて一体化させて、地域の特徴を表すのである。地域住民を中心として、誰でも楽しめ気軽に利用できるものとする。さらに拠点を設けそこから回遊性を実現させるようにする。またヒューマンスケールに基づいた歩行者優先の歩道にする。
 では、理想の遊歩道の条件を上げてみる。
・人に優しい空間をつくるには歩行者と他の交通機関、特に自動車との共存方法を考えねばならない。
・歩道幅はヒューマンスケールに基づくと最低でも3.04m〜3.64m必要である。この事から各街路における最 低の歩道幅を決定する。
・遊歩道は透水性舗装とする。
・交差点をハンプ上につくり、歩道とのレベルを同じにし歩きやすくする。ハンプとは、舗装をわずかに盛 り上げるとともに、舗装材を変えることにより注意深い運転を促すものである。事前にショックを予期さ せるため、速度を低下させる。舗装材を歩道と同じものとすれば、歩行者優先のイメージをつくることが 出来る。また横断歩道を頻繁に設けることにより、速度を低下させる。車の速度を抑えることにより、車 の利用者を軽減させることが出来ると思われる。
・車止めは自動車交通を感じさせるものは出来る限り目立たないものにする。植樹帯で代用したり、デザイ ンに凝ったりして歩行者の邪魔にならないようにする。
・街路の照明については住宅の場合、表通りより照度を落とす。周辺の建物性格により輝度や反射板、そし てカラーリングの一環として演出性に注意する。
・植栽は出来るだけ多く用いるようにする。各街路とも植樹帯のスペースを1m以上は設ける。
・サインインフォメーション 空間の演出に役立つようにデザインされた情報装置のことで、街路区案内、 定点標示などがある。この計画では、コースの案内図を設置する。自動車のための交通標示は歩道からは 見えにくくし、気にならないようにする。
 構想は、御茶ノ水付近と東京駅から日本橋付近の2つあるが、誌面上御茶ノ水付近の構想だけ紹介する。
 まず展示物となる建築物や風景を選定し、現地調査や地図による確認を行いコースを決定した。またコー スにあたる道路をその幅員に応じて3タイプの道路につくり変える。
 おわりに、この構想は失われつつある街の個性を引き出し、未来へ残そうという計画について研究したも のである。その具体例として新しい博物館の考え方を参考にし、地域を博物館に見立て街の個性を再認さ せる「地域博物館構想」である。街の活性化の手助けとなり、そして将来の東京の街が親しみやのもてる 街となっていることを願う。
地域博物館構想コース
起点JR御茶ノ水駅聖橋口 区間距離
 |  320m
湯島聖堂
 |  252m
神田明神
 |  1000m
本郷給水所公苑
 |  307m
元町公園
 |  1177m
皀角坂
 |  414m
JR御茶ノ水駅
 |  330m
明治大学記念館
 |  258m
錦華公園
 |  447m
ニコライ堂 
 |  312m
終点JR御茶ノ水駅聖橋口

歩行距離4817m 歩行時間約80分

※この構想は、前島昌周さんが千葉工大の卒業論文として研究された内容を要約したものです。前島さんは現在、千葉県市原土木事務所に勤務されています。


前島昌周 千葉工業大学土木工学科水工研究室(平成6年卒業)
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