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KANDAルネッサンス 30号 (1994.07.20) P.2〜4 印刷用

特集 リバーループ21東京構想

隅田川・神田川・日本橋川連結構想

社団法人 大都市圏研究開発協会 
「リバーブル21東京」研究委員会委員長 建築家 波多江健郎


 私たちは現在、東京都心部を取り巻く隅田川・神田川・日本橋川、3川連結構想を持っている。すでに私は数回にわたって3川のルートを舟から観察した。特にその中でも、今まで高速道路の橋脚により街のレベルからほとんど意識出来なかった日本橋川では、橋を通して眺められる景観があたかも走馬灯のように映り、新たな感動を覚えた。考えてみれば、江戸東京の発祥の日本橋や、両岸の美しい石積、形の美しい常磐橋、錦橋、そして両岸にある洋風建築のたたずまい等は、私たちに当時の人々が、川やまちづくりに対してきめ細かな配慮をしながら、いかに造り上げていったかを示しているかのように思えた。
そのうえ、それぞれの橋詰には小さな空間があり、樹々の緑がたおやかに水面に接する所も見られた。今にして思えば、高度経済成長期に、歴史的遺産を周辺に持つこの川の上に高速道路を通してしまうという経済優先の姿勢に、私たちはいささか腹立たしさ感じた次第である。このような貴重な資源を現在のように放置するのではなくて、私たちの生活の中に川を貴重な空間として復活させたいというのが私たちの発想である。
特に「日本橋川、神田川、隅田川に囲まれた周辺地域は東京の歴史的遺産の宝庫である。このような文化遺産をそれぞれ川を通してネットワーク化させ、人々が都市レベルから自由に緑と潤いのある川辺に出られることを想像していただきたい。東京の歴史的環境が川を通して歩行レベルとなり、舟を介して楽しめるという、まさしく人間性復活のまちづくりになることが考えられる。

景観づくり12のシナリオ
1 生態系における共存の考え方を基本とする。——動植物との共生
2 3川を結ぶ水上バスの提案——舟着場のデザイン、位置
3 歴史的資源を活かす——川辺からのランドマーク、保存と史跡のネットワーク、浮世絵による
    原風景の復活
4 時間的変化、季節的変化を川辺に活かす——夜のライトアップ
5 水際の遊歩道づくり——素材、色の検討、まちとのつながり
6 緑と水のネットワークづくり——公園や街路樹、川辺の線をつなげる緑道ネットワーク
7 橋を見せる工夫——ライトアップ、まちを知覚させる橋、橋からの眺め
8 街並みと川辺との調和づくり——地域イメージが川辺へつながる。看板、広告を極端に減らし、
    色、形、大きさ、デザイン統一
9 オープンスペースから水辺へ——自然とふれあう拠点づくり
10 川辺の公共施設から水辺へ——まちなかのランドマーク、アクセスを容易に
11 道路空間から水辺へ——落ちつきのある幹線道路の歩道づくり、快適な生活道路より水辺への
   アプローチ
12 洪水コントロール、水質を含めて——安全性を確認

事業化への取組
1.検討公共事業
(1)短期事業
 1)ストリートファニチャー(照明。イス、テーブル、日除け、サイン、道しるべ、歩道のテクスチャー)
 2)橋、高速道路のピアに対するデザイン的な処置
 3)植樹(グリーンのネットワーク)
(2)中期事業
 1)水上タクシー(30〜40人乗り)
 2)船着場(橋詰を検討中)
 3)オープンシアター(川を挟んで一方にはステージ、一方には客席)
 4)集合住宅
 5)水質浄化プラント
 6)川辺テラス(リバーウオーク)
 7)低温排熱利用地域冷暖房システム
(3)長期事業
 1)多目的貯水槽
 2)地下河川(洪水流出分)
 3)首都高速道路の地下化

日本橋川 ゾーンC(一ツ橋から鎌倉橋付近)
地区特性
 戦後の復旧後にできた大きな区画割りで官公庁を始め、新しいオフィスが多い場所である。
 中でも、通信と放送についての知識と理解を深めるための目的で建てられた逓信総合博物館がある。平日
 は、小・中学生の社会科見学などに多く利用されている。
 北側は南側と対称的で、区画割りが小さく商業施設がかなりおおい所でもある。
活用方向
 川辺に遊木地が多く緑も多い。また、川辺には江戸の石積が残り、江戸の面影を残している。
 ここは、サラリーマンを始め人々にとって静かな川辺空間を提供したい。神田橋タモトの公園とドッキン グさせたい。
記念物・建物
 逓信総合博物館・平将門首塚
 区立公園 神田橋公園
整備方針
 ルート 東京駅舎—逓信博物館—国際郵便局—鎌倉橋—川辺の散歩道
日本橋川 ゾーンD(新川橋から雉子橋付近)
地区特性
 神田界隈の商業地を中心に学生の街の延長とに、とらえられる地域である。従ってここでは、若者にとっ て のリクレエーションのための空間として川辺をとらえた。
 川辺周辺に緑が多く、川幅もヒューマンスケールであると同時に番町、平河地区の住民の憩いの場を川辺 に求めたい。
活用方向
 雉子橋、南堀留橋、宝田橋、周辺に川を挟んでのステージと聴衆席を設け、コンサート、演劇等のイベン ト 空間を造りたい、川辺に飲食等のアメニティ空間を創ると同時に読者の出来る静かな空間もつくりた い(緑が多いので)F・G・Dを緑道で結ぶ
記念物・建物
 ゾーンの南はずれに、北の丸公園・日本武道館・科学技術館・国立公文書館・東京国立近代美術館・
 靖国神社 区立児童遊園 神三児童遊園 神保町愛全公園 堀留町南児童遊園 九段下公園
整備方針
 ルート 北の丸公園—武道館—国立近代美術館、公園—堀留橋、新川橋間のオープンシアタに至る。
日本橋川・神田川 ゾーンE(水道橋からお茶の水橋付近)
地区特性
 日本橋川と神田川の合流点で、神田川北側に後楽園があり、園内では東京ドームがあり、多種多様のスポ ーツが観戦でき、その他のイベントなどにも楽しめる場所である。また、都立小石川後楽園などもある。 後楽園等を控えた一大リクレエーション空間へのアプローチとして考慮する。
活用方向
 後楽園のアプローチとしての川辺の遊歩道と船着場を考慮する。船着場としては、三崎橋あたりが良いと
 思われる。
記念物・建物
 都立小石川後楽園・文京区小石川運動場・東京ドーム・後楽園遊園地
 野球体育博物館 区立公園 西神田公園 児童遊園 堀留北児童遊園
整備方針
 JR貨物飯田町駅の都民住宅予定地との整合を考えても面白い。後楽園、ドーム、遊園地への快いアプロー チを考える。
神田川 ゾーンF(お茶の水橋から万世橋付近)
地区特性
 御茶の水を中心に、医科歯科大学、日本大学、明治大学、中央大学等の大学の街である。
 地勢的にも本郷台地の切り通しの底にあるわけで両岸のスロープはきついが現在浄化が進んでいる。地下 鉄新駅と共に今後景観的にも美しい環境の創造が期待される。聖橋とともに湯島の聖堂とニコライ堂を結 ぶ聖橋を中心にした教育のまち大学のまちである。
活用方向
 両岸が厳しいので両岸の中巾を歩ける様な配慮が必要、湧水を残したい。
記念物・建物
 ニコライ堂・刑事博物館・宝生能楽堂・区立本郷給水所公苑・水質センター
 区立公園 元町公園 錦華公園 神田明神 湯島聖堂 交通博物館
整備方針
 文化の散歩道:本郷台地の斜面の豊かな街—聖橋、湯島の聖堂—神田明神、昌平橋—ニコライ堂—交通博 物館—万世橋—川辺の散歩道


 もう7年前になりますが、本誌KANDAルネッサンス2号と3号で水を活かした都市づくりの提案を特集として掲載していますが、このような「リバーループ21東京研究委員会」が2年前より発足したこと、そして具体的な整備計画に入って行くであろうことは、ルネッサンス出版部スタッフ一同大変嬉しく思い、この活動を大いに支援して行きたいと考えます。次号では、引き続きリバーループ21東京構想の中で神田を中心とした夢のある楽しい構想を紹介します。また読者の皆様からの、人の住みたくなる潤いのある素敵な街づくりの楽しい提案、ご意見もお待ちしています。 
KANDAルネッサンス編集部



波多江健郎 建築家 (社)大都市圏研究開発協会 「リバーブル21東京」研究委員会委員長
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