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KANDAルネッサンス 24号 (1993.01.20) P.13 印刷用

第48回・神田学会レポート

一粒の雨をオアシスに

ソーラーシステム研究グループ 代表  村瀬 誠
墨田区で何故雨水利用か
自前の水源の確保

 昭和62年夏、関東地方を大渇水が襲った。
東京から200kmも離れた利根川上流のダムが底を見せ始めたと報道されても、このことを自分たちにふりかかるかもしれない問題として深刻に受け止めた人は少なかったのではないだろうか。
 墨田区の水源もまた利根川上流のダムに大きく依存している。これまで、水が足らないと言っては、上流にダム開発を求めてきた東京であったが、利根川上流のダム開発は既に限界に達していると言われており、加えて、計画中のダム開発も遅々として進んでいないのが実情である。このことを直視するなら、下流の東京こそが、まず節水に努め、雨水利用や下水処理水の循環利用を推進することによって、少しでも自前の水源の確保を目指すべきではないだろうか。節水が、「隠れた水源開発」とすれば、雨水利用は言ってみれば、都市の中に「自前の水源」を作ることを意味する。

防災都市の推進

 墨田区前史によれば、関東大震災時、水道の被害が著しく、水道管破裂は19ケ所、漏水は2331ケ所に達した。他区からの応急給水もうまくいかず、結局、旧両国国技館の井戸を修復して急場をしのいだという。このことは、身近な水源の確保こそ、都市が防災の自立をはかっていく上での大前提であることを示しているといえよう。

雨水利用とまちづくり

 墨田区には地元住民が主体となり出来た施設が数多くある。
“路地尊”は、みんなが路地裏を尊敬し、人間関係を大切にし、町を守ろうという意味を持ち「防災のシンボル」でもある。街角に設置された路地尊は近所の家の屋根から水を集め、地下の雨水貯留樽に貯め、手押しポンプで汲み出すという仕組になっていて、防火用水等に利用されている。
“エコ銭湯”は、“雨水利用と空き缶などの回収を行う”エコロジー銭湯のことで、広い屋根を活用し雨水を集め、観賞用の池に導くほか、水洗トイレや回収した空き缶の洗浄にも利用している。
 かつて地域コミュニティの拠点だった銭湯だが、近年入浴者の減少に伴って経営危機に陥っていた。
 そこでこのエコ銭湯は、地域のリサイクルの拠点としての役割を担うことによって新たな地域コミュニティ拠点として再生し、もっと銭湯の活性化を図っていこうという狙いももっている。

都市環境の再生

 墨田区では、下水道が100%近く普及しているが、集中豪雨のたびに一部の地域で下水の逆流による都市洪水が発生してきた。また溢水までいかないまでも、わずかの降水で下水ポンプ場からは雨水とともに下水も排水され、内河川の水質汚濁を引き起こしてきた。これは地域のコンクリート化、アスファルト化が進み、地下に戻れなくなった雨水が一挙に下水道に集中するために起きる現象である。雨水利用において雨水を雨水貯留槽にためたり、地下に浸透させることは、建物から雨水が一挙に流出することを抑制することにもなる。
 これからは雨を都市環境の重要な構成要素としてとらえ、敷地や舗道に降った雨水は地下に浸透させることを原則としたい。
 また都市に足りない緑を守るためにもダイナミックな地域の水循環が必要である。過剰な地下水汲み上げの結果、ひどい地盤沈下を生じさせることがある。地下水を使用することを総て拒否するのではなく、地下水の収支をきちんと把握した水循環の中での活用が必要であろう。
 今後、雨水の「資源」や「環境」としての側面を重視し、都市の中にオアシスを創造していかなくてはならないだろう。
(平成4年10月26日 クボタビル会議室にて)


村瀬 誠 ソーラーシステム研究グループ 代表
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