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KANDAルネッサンス 20号 (1992.01.15) P.13 印刷用

第38回神田学会レポート

リ・サイクル社会の創生

NHKサービスセンター 理事(ソフト広報センター長) 石澤清史

 本年一月七日から十日までの4日間、アメリカのブッシュ大統領が来日した。ブッシュ・宮沢会談の結果、「東京宣言」が発表された。その主な内容は「軍縮と環境」である。二十一世紀を目前として、私達の地球環境をどう守るのか。これは、世界的課題であると言っていい。
 また、国際関係論の世界的第一人者であるアメリカのジョージ・F・ケナンが、最近の「フォーリン・アフェアーズ」誌でこう明言している。
「現在、私達の世界は、前例のない重大な二つの危機に直面している。」
 ケナンが指摘する二つの危機とは、
  一、工業大国間における大きな戦争
  二、工業化と人口過剰がもたらす世界の自然資源と地球環境の破壊
 と言っている。
 世界の賢人たちが指摘する世界的テーマは、奇しくも「戦争」と「環境」である。
「環境問題」が、このように重要なテーマとなったのはなぜか。
 私は、四つの理由をあげたい。
 第一の理由は、二十一世紀を目の前にして世界の人々が、私達の地球環境をこれ以上悪化させない方策を講じないと取り返しのつかないことになるというコンセプトが醸成されている。オゾン層の破壊、地球の温暖化、熱帯雨林の伐採など地球的規模での環境悪化が進捗しているからである。
 第二の理由は、使い捨て社会(ワンウエイ型社会)が定着しつつあること。
 生活の便利さ、経済コスト最優先の論理で使い捨て商品が急増している。モノの豊かさを追求しすぎることへの自省ムードも高まっている。
 第三の理由は、ゴミの量が増え続けていること。東京二十三区の家庭やオフィスから排出されるゴミは、ついに五百万トンをこえた。企業のOA化で、印刷やコピーに用いる紙が増え、それらが大量に捨てられていく。
 第四の理由は、埋め立て地の不足である。一九八九年、厚生省がまとめた実態調査によると、全国の一般廃棄物は、年間五千万トンを越えた。東京ドームの百五十杯分にあたる。企業や作業現場から出る産業廃棄物は、三億千二百万トン。このうち一般ゴミは、千八百万トン、産業廃棄物は、九千万トンを埋め立てている。
 これらの膨大な量のゴミの埋め立て地が、どこの都市でもパンク寸前で、東京都の場合あと二〜三年で満杯になるだろうと不安をつのらせている。
 このような幾つもの要因が絡み合って、環境問題は深刻な社会問題になっている。
 九二年は、環境庁創立二十年ということで、「アース・イヤー」として、さまざまなイベントを展開しようとしている。また六月には、ブラジルで二十年ぶりの国連環境会議「地球と開発に関する国連会議(地球サミット)」(第一回は、一九七二年ストックホルム)が開催され、各国から三万人が参集する。

 九二年度から、小学校の学習指導要領が改正され、授業で地球環境問題が取りあげられる。身近かな空き缶や牛乳パック容器の問題から、Re-Cycle(リ・サイクル)のさまざまな紹介事例や緑地の砂漠化や森林を枯らし、湖の魚や生態系を死に至らしめる酸性雨の問題などを学習する。
 単に学習するだけでなく、実際に体験しながら環境教育を推進しようと大胆な試みをしている自治体もある。東京都江戸川区教育委員会は、この二学期から、すべての幼稚園、小学校、中学校百十校から出る紙ゴミを可能な限り、リ・サイクルする。
 東京都世田谷区では、「リサイクル推進課」を設置し、リサイクルスタッフという協力員を中核に、リ・サイクル都市を目指している。
 環境庁でも、「循環型社会システム」づくりに具体的提言を行っている。
 企業は、環境への取りくみが究極の競争力につながるとして「企業の環境主義」を提唱し始動している。
 モノを大切にし、生命を尊重する真に豊かな社会「リ・サイクル社会」を創生し、世界に貢献したいものだ。(了)


石澤清史 NHKサービスセンター理事(ソフト広報センター長)
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