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KANDAルネッサンス 13号 (1990.04.10) P.11 印刷用

神田学会レポート・9

「都市防災の現状について」

防災都市計画研究所 代表 木村拓郎

 防災都市計画研究所は、社会生活の基盤である案全問題を追求し、災害に強い都市づくりを目ざすべく昭和45年に我国で始めて民間の防災コンサルタント機関として設立された。開所以来、「災害現場に学ぶ」という基本姿勢を調査研究の原点とし、これを基礎に各種シミュレーション手法の開発、あるいは災害対策システム等を開発し、この成果を官民各方面で進められている防災対策に役立てている。
地域の災害危険度
 地域の災害危険度は、1建物・2人的・3火災・4避難の4つの危険性を総合して評価している。
 建物の危険性というのは、地盤が弱く、建物が密集しているところで、被害が大きくなる可能性がある。特に人の多いところでは、いろいろな被害が発生するので人的危険性も大きくなってくる。また、火災は出火と延焼という2つの危険性がある。地震といえば火災、これは大正12年の関東大震災の時、約5万5千人の人が死亡しているが、そのうち純粋に建物の下敷になって死亡した人は5百人と少数で、ほとんどの人が火災が原因だったためである。最後の避難の危険性は、避難場所が遠いか近いか。これは東京都が広域避難場所を指定しているが、そこへ行くまでの道のりが遠いほど危険性が高くなる。
 では実際東京に地震が起こったとすると、現在どのくらいの被害が出るのか。概略でいうと、23区の人口が800万人、そのうち被災する人は約4割の350万人ぐらいで、死亡する人は3万6千人ぐらいとされ、あとの人はほとんど、食料や住むところに困ることになると予想されている。
 今現在の社会情勢からみると、関東大震災クラスの地震が発生した場合、行政の対応には、相当限界があると考えておくべきである。
 地震のあとの被災者救済をどうやったらいいか、一日も早く都内に物資を運ぶにはどうするか等、検討し対策を取らなくてはいけない。そうしたソフト面の対策と、安全な街づくりのためにどうすれば良いかというハード面の2つを考えていかなければならないといえる。
最近の地震による人的被害の傾向
 以前は地震というと火災であったが、都市構造がかなり変化しているということもあって、最近では落下物(特にガラス)やブロック塀等の倒壊による負傷者が多くなっている。
 昭和53年の宮城県沖地震を例に見てみるとまず受傷場所であるが、屋外が多いことがわかる。これは、地震が発生した時間帯で大きく異なる。
 その原因別比率を見てみると屋内外を問わず、ガラスや落下物による負傷が多いことがわかる。また窓ガラス等の落下は、その飛散距離によって発生する被害が大きく影響していると考えられる。宮城県沖地震によると、ガラス破片の飛散距離は、およそ地上から窓までの高さの1/3〜1/2といわれている。バルコニーがガラスの破片の地上への直接落下をかなり防いだということも教訓として得られている。このように、原因がはっきりわかっていることは、対策を確実に打てば被害は減る。意外と身近に原因が多く存在しているので、そこから対策を打つことも被害を最小限におさえることになる。
神田地域においての対策
 千代田区では、夜間人口と昼間人口の問題が深刻となっているが、区の方でも、その落差・夜間について心配している。特に東京も24時間都市になりつつあり、区の登録人口は少ないが、夜間もそれなりに人がいるため、その人たちに地震が起こったとき、どのように考えて対策を取っていくかが課題の1つとなっている。
 そのような点から見ても、防災上、自分たちの街をなんとかしようとする人がいて、地元の人と働く人の関係やソフト面の街づくりをどうやっていくかを考えていく必要がある。さらに、第二の神田佐久間町・和泉町(これは、関東大震災のとき住民が力をあわせて火災の延焼から街を守ったということ)になるぐらい積極的に(お祭りを催すなど)コミュニティーづくりが大切になる。また電気・ガス・水道等が使えなくなったときどうするかが、これからの対策上のポイントとなる。

※今回のレポートは、去る2月20日に行なわれた第23回神田学会の講演から抜粋したものです。


木村拓郎 防災都市計画研究所 代表
静岡県下の各市の避難計画、伊豆半島地域の観光客対策等の数多くの応急対策計画策定に従事。最近では、情報処理、通信システムの防災対策に力を注いでいる。
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