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KANDAルネッサンス 13号 (1990.04.10) P.4〜5 印刷用

特集 街の魅力の発掘と未来・IV

神田古書店街

 神田神保町と言えば学生の町、そしてなんと言っても本の街。古書店街です。この街の歴史は明治の前期、東大、一橋大などの前身が神田に創立され、その教科書を販売する場として出来たのがルーツと言われます。その後、明大はじめ数々の大学、専門学校がこの一帯に集まり、地域の人々はもとより、これらの学校の先生、学生、そして卒業生と着実にファンを増やしつづけ、世界でも類を見ない規模の古書店街が出現したのです。又、この古書店街の発展になくてはならない存在として、新書の専門店? 三省堂、岩波書店、書泉等、これらの日本を代表する書店が立ち並び、本の街と呼ばれるにふさわしい姿を形成しています。

神保町ブランド
 
 この街の書店の数はざっと130店。ひと頃地上げと言えば神田神保町と言われる程マスコミでも話題となった地価高騰のスポットですが、意外なことにここ数年古書店の数は僅かながら増え続けているのです。その理由は、通信販売を中心とした店の存在です。彼らはなにも地価の高い、目抜き通りの一階に出店する必要はなく、裏通りのビルの地上階で充分だからなのです。但し、住所は神田神保町というブランドにコダワッテイルノデス。このブランドは、全国に向けて書籍を扱う人人にとっては喉から手が出る程ほしい、いわば信用状なのでしょう。又、神保町でなくては得られない特典がもうひとつあります。駿河台下の消防署の北側にある東京古書会館に近いというメリットです。日本で一番大きな本の市場と考えてよいこの会館は、月曜から木曜までは古書専門の業者さん間で行なわれる入札で賑わい、前述のとおり質も量も日本を代表する規模の取り引きが行なわれています。入館には古物商の免許が必要ですが、毎週金、土曜は古書即売展が開かれ一般にも開放されています。

一歩先行く巨大な図書館
 古書店をこまめに一店一店みてみると、どのお店も屋号が違うように、並び揃えられている本の種類も違うことに気がつきます。同じビルの中の店同志でも、長屋風の建物内であっても、それぞれの店が違うジャンルの本にこだわり所謂、専門書を置いているのです。それも時代を反映してのこと、「終戦後のドサクサの中で人々が活字に飢えていた時代はそんなわけにもいかなかった。供給できる本も僅かであったし、当時は本といえば何でも扱いましたよ」(A店主)。それから四十数年、豊かな時代を背景に今、古書店の専門科は加速度を増して進んでいるのです。
 ウィークデーの午後ともなると靖国通りの歩道が急に狭く感ぜられる程、人が街をうめつくし急に活気づきます。皆、自分の求める本を捜して歩いている様は、まるでこの街全体が一つの図書館のように映りますが、一般の図書館では真似のできないサービスがあるのです。それは、一店一店それぞれの店主がそれぞれの専門分野ごとの知識と情報を持っていることです。「お客様は学者はもとより、一般の方でも学者並みの勉強家ぞろいです。お客様とは教え教われの関係です。」(B店主)。
 沢山の店主との会話を通しての感想ですが、この街の古書店の主人とは、謙虚にお客様から教われる商人道と好きな専門書からより深く学ぼうとする向学心旺盛な学者道その両方を兼ねそなえた人物像が浮び上ってくるのです。古書店街130軒には少なくとも130人の専門家サービス要員がいるという、規模はもとよりサービス体制でも日本一イヤ世界一の、一歩先行く巨大な図書館といえましょう。専門分野に分かれた一店一店が、このように集合するメリットがよくお判りいただけたと思うのですが、そんな一店一店の繁栄が130店ある古書店全体繁栄となって行くのです。
古書店街の明日
 又、この街になくてはならぬもののひとつに、飲食店の存在があります。本を捜して、ひと休みしたい時、気のきいた素敵な喫茶店、食事処があればこんな嬉しいことはありません。神保町には、文士たちに愛された歴史ある喫茶店も揃い、今なお健在です。「まだまだ足りない。もっともっと見た目も綺麗な飲食店ができれば街は今以上に活性化し、発展します」(C書店主)。この街にも、相続税、後継者問題をはじめ、駐車場問題、日曜日の活性化、隣接地の再開発からの影響等課題は多いのですが、この世界でも類を見ない古書の情報集積と情報発信の基地を不動のものとすべく、知恵者揃いの店主たちがひとつになり力を寄せ合えば、どんな難問でも解決して行く力を持っている街であると確信します。

KANDAルネッサンス出版部


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