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KANDAルネッサンス 11号 (1989.10.10) P.10〜11 印刷用

神田学会レポート・7

私たちの街・駿河台を考える 座談会


提言
(ア)、お茶の水全体をまとめて議論する場をつくる。そこに、各方面、各層の参加を促進する。
(イ)、神田明神から太田姫神社を結ぶ歩行者道路を整備し、回遊性のあるメインストリートを造る。
(ウ)、公開空地を歩行者空間広場として開放させる。
(エ)、建物の1階部分は生活空間として開放し、特に大きな建物は通り抜けができるようにする。
(オ)、お茶の水駅を改築する。
    1 仲通りの正面に出入口をつける。
    2 聖橋とお茶の水橋の橋詰広場を十分確保する。
    3 橋詰広場に、人物像のようなシンボルを建てる。
    4 お茶の水案内板を立てる。
(カ)、淡路坂から交通博物館までを「博物館通り(仮称)と名付け、特徴のある歩道を整備する。
(キ)、ライト・アップする。
(ク)、神田川に降り「お茶のみ」を飲める遊歩道を整備する。
(ケ)、水道橋(架樋)を歩道橋として復元する。
(コ)、イベントを実施する。
    1 ウオークラリーを実施する。(神社、教会、商店、食堂を組み入れる)
    2 フリーマーケットを実施する。
    3 音楽会を実施する。
    4 神田明神から太田姫神社を結んだメインストリートで、「お茶の水祭り(仮称)」を実施する。

*千代田区役所—佐藤尚久氏、平山茂氏、飛澤宣成氏、小藤田正夫氏による報告書より



 座談会はまず冒頭に、千代田区役所の有志四名による「お茶の水周辺の魅力と可能性を探る」と題した調査レポートが発表されました。内容は、この地の歴史的背景から地質調査にまでいたるもので、それも実際自分たちで歩いてみて感じた事柄を細目メモし、最終的には10の提言という形でまとめられました。(上欄参照)この提言をたたき台にして座談会は進行します。

司会 
駅は常に人を集める、はき出す、そういう機能を持っている所ですから、言ってみれば鎮守の森のような役割もあるのです。神田明神やニコライ堂はその昔、鎮守の森であったと思われますが、改築される新しいお茶の水の駅舎がそれに代わるものとなるでしょう。この町のシンボル的な建築物が出来るのを期待します。ところで、お茶の水駅開発の、まっただ中にいらっしゃる福田さん、この提言の中で何が重要と考えますか。
福田 
今痛切に感じている事ですが、提言の中で(ア)ひとつだけを挙げます。現在、町会、住民、商店主、テナント主、行政といったそれぞれが皆考え方が違うのです。それに大きな問題として街づくりという案がもち上った時、行政から地元への呼びかけ、商店街その近辺の方々への呼びかけがありません。すぐ反対されるからなのか、摩擦があるからなのか、行政に聞いてみたいのです。
 地元の現実に商売している、住んでいる人達、働きに来ている人達の意見の吸い口がないのです。(ア)が第一歩です。
司会 
(ア)がなければ、理想的な事が進んで行きません。しかし現実は町がどんどん変りつつあります。幸い、街づくり推進公社が千代田区に出来ました。この活躍を大いに期待したいものです。JRお茶の水駅舎の建替をひとつのきっかけにしながら、(ア)につながる活動が出来てくると良いと思います。
堀田 
何事もそうなのですが、過去を土台にして物事を決めて行こうという発想が根底にります。問題点というのは常に過去からのものでは解決出来ないから問題が残ってしまうということから考えると、今までのしくみに捉われると解決出来ないという考え方が他方で成立つのではないでしょうか。そういう意味では、連合町会が神保町地区、神田公園地区、万世橋地区の三つになっているということですが、これは連合町会単位で考えるべきではないということをまず位置づけなければなりません。そうしますと地域と言っても連合町会からのという発想ではなく、新しい問題にとり組むオール千代田の中の本当に必要な立場の人達が集って、プロジェクトチーム型で考えて行くべきでしょう。
司会 
駿河台を、行政区分が三つに別けていて、文京区を入れると四つになるわけですが、駿河台をひとつという見方もして考えなければならないという堀田さんの発言でした。
高山 
靖国通り商店連合会の場合もそうだったのですが、自分の問題として危機意識があるとまとまりやすいのです。お茶の水駅舎の改築案として危機意識を持った人々が、みんなの意見をまとめて夢のある駅の設計をやったら、それに附随していろいろなアイディアが出ると思います。
須永 
今お話の、靖国通りの例にもありますとおり、商店会の存在が大事です。お茶の水では商店会が福田さんのいらっしゃる、名渓通り商店会ひとつだけしかありません。行政とどこが結ぶかといった場合、町会というのは自治会ですから本当の商工振興には結びつきません。行政が話をする時に、個々には話せないので商店会の人たちと話します。商店会が出来ないところには、麹町がいい例ですが、環境整備協議会と商店がいっしょになって話し合いの場をつくっているようなところもあります。
司会 
早川さんは、街づくりに関しては行政といっしょにとり組んでいらっしゃいますが 、この提言についてはいかがですか。
早川 
先程の提言はすばらしい内容でしたが、ことに(ウ)と(エ)なのですが、このとおりでして最近の海外の建築物は、ほとんどが一階は公共空地にして、人の流れを全面的に入れるスペースでして、その分容積を余分にもらって上に作って行くわけです。現在この有効な公共空地をつくるには、ある程度大きい敷地面積がないと出来ませんし、小さな区画で公共空地をつくっても意味がありません。そういう面で、この駿河台は幸い学校があります。学校は大きな土地を持ち、固定資産税を払っていないわけですので、大変すばらしい土地の有効利用ができます。数年前から学校も、私学の補助金を増やす事が出来ないから、どうぞビル経営でも何でもどんどんやって下さいという方針に変ったそうで、最近学校がビル経営をやっています。大きい土地ですので、そのあがりで二、三年で建築費を回収してしまうそうで、あとは全て大学の先生の授業料になるという話です。今後、駿河台はそういう方向に向うのは必然的であろうと思います。ですから是非、一階分は公共空地にしてもらい、そのかわり公共空地にした分より以上ボーナスをつり上げてあげれば学校としても損はないでしょう。一階の回遊性を高めて欲しいと思います。
司会 
大正海上さんも本日は来ていただいていますが、お話いただけますか。
宮崎 
大正海上火災本社で約2000名、隣りの新日本証券に約1200名働いていますが、ほとんどがJRを利用しています。現在のお茶の水駅はホームが狭く、大変危険ですので改築が待たれます。公開空地論ですが、南側にはS字型通路があり、木も植えてみなさん楽しんでもらえるようにしてあります。何となく入りにくい一階ですが、広報の立場で申し上げれば、より多くの皆さんに大正海上に親しんでもらうため空地の利用を含め、いろいろな方策を考えております。たとえば近い将来クリスマスあたりに地元の皆さんと協力してイベントなどをやってみたいと思っております。
司会 
駿河台にもうひとつ名所が出来る予定ですがYWCAさん、いかがでしょう。
原田 
今建築中のYWCAですが、YWCAそのものが公共空地と考えます。地下のプールも時間制で男性にも利用出来るよう考えています。あとミニコンサートができる定員三百人程の小ホールもできます。またエントランス部分は大変広い屋根付の車寄せになっています。ここも積極的にオープンスペースとして活用します。
司会 
そのすぐおとなりの主婦の友の森下さんがいらっしゃいます。森下さんは今までの話に対して、どのような感想をお持ちでしょうか。
森下 
昨年の12月31日大晦日にカウントダウンのコンサートをカザルスホールで行ないました。しかし帰りに外に出ますと、真暗なのです。町としては片手落ちではないでしょうか。駿河台を新しい回遊性のある繁華街にしたいと思います。それは一企業でやっても意味がありません。町全体で考えるべきテーマだと思います。又、原則は夜間人口が、新しい町づくりは昼間の人間達が町会を作り、町をつくる発想が必要と思います。昼間の人間の我々や学生が新しい住民になるという意識が大事ではないでしょうか。お茶の水駅舎のオープニングイベントは、是非神田学会で行ないたいと思います。また、神田川を活かした町づくりとして、お茶の水駅舎の改築をきっかけに、ディズニーランドとビッグエッグを結ぶ船着き場をJRさんに是非作ってもらいたいと思っています。
司会 
先ほど高山さんから神田に関わりのある人達で意見を寄せて、コンペに参加してみてはという話がありましたが、逆に当選したコンペに神田の皆さんの意見を寄せることも可能な道なのではないかと、そんな門戸をJRさんならびに行政によって是非聞いてほしいと考えます。

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 座談会は約3時間にわたり、メンバーの皆様から有益なご意見、ご提案を沢山いただきました。紙面の都合上、残念ながらほんの一部しか掲載出来ませんでした。しかし地域社会のかかえる問題を、同じ土俵の上に乗せ、この地域にかかわる人々で論じ合えたこと、理解が少しでも深まったこと、新しい課題が生まれたこと、実行する為のノウハウを知ったこと、行政とのパイプが太くなったこと等々、実りのある場であったと感じます。それぞれのメンバーが家庭で職場で地域社会でと、少しでもこの話し合いの延長戦をくり拡げていただくことを願います。

KANDAルネッサンス編集部

参加者 20名
司会 久保金司
以下出席者——阿座上勝彦・井出幸夫・岩崎俊治・亀井紀人・小藤田正夫・佐藤尚久・芹沢高志・高山肇・飛澤宣成・中原享・浜田章男・早川正一・平山茂・福田世英・細野義和・堀田康彦・宮崎清・森下慎也・安山宣之(敬称略、50音順)


*今回のレポートは去る6月21日に行なわれた第18回神田学会の座談会から抜粋したものです。


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