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KANDAルネッサンス 11号 (1989.10.10) P.1〜2 印刷用

特集 街の魅力の発掘と未来・II

静かに変わりつつある電機街 電機街・秋葉原

 電気の専門店街として、日本のみならず世界にも知れわたる秋葉原。これまでの「安売り」だけのイメージを一新するかのように、何かが、静かに、そして確かに動き始めています。電気専門店街という個性的なベースをもとに、「情報発信基地」としてのワンランクアップをめざしているのかもしれません。
電気街を見る、聞く
 秋葉原、それは類まれな電気の専門店街の代名詞になっています。千代田区外神田一、三、四丁目を主に指しているのですが、秋葉原という方が馴染みがあります。電気街としての秋葉原は、第二次世界大戦後に始まりました。ラジオの部品や電球を売る闇市から始まり、やがて白黒テレビ、トランジスタラジオ、冷蔵庫、カラーテレビ、ステレオなど数々の家電製品の登場によって急速に発展してきたのです。現在、秋葉原には大小約三五〇店舗が隣接し、昨年の売上高は四五〇〇億円。国内の家電製品の総売上高の約一〇パーセントを占めています。利用客は平日六〜七万人、土曜一二〜一三万人、日曜祝日二三〜二四万人(秋葉原電気街振興会)。この数字は単なる「安売り」の魅力だけでなく、秋葉原が位置する地理的要因(交通の結節点)もあることを忘れてはならないのです。
 秋葉原駅は山手線、総武線などがクロスする構造で、初めて訪れる人にとって出口を見つけることはやや難解です。駅を出ると、大型店の看板と安売りの垂幕が目に入ります。そのカラフルな原色が強烈に目に焼き付いてきます。ラジオ会館をはじめとするパーツ専門店に一歩足を踏み入れると、そこはマニアにはたまらない世界です。秋葉原の原点ともいえるそこを後にし、中央通りに出ると先程の原色攻勢が再び始まります。一瞬、異国感すら感じることがあります。中央通りを北進すると、所狭しと店舗から舗道までせりだした季節のメイン商品。舗道は自転車が並び、車道には車が二重駐車することもあります。街の賑わいが単なる人の賑わいだけでないことに気づくかもしれません。中央通りを離れ、駅の北側をみると広大な旧東京都神田卸売市場跡地と旧国鉄貨物駅跡地が、今後の用途未定のまま残っています。
電気街を創る
 神田一番の賑わいを見せる秋葉原は、街としての若さゆえの落ち着きのなさなのか、原色の世界と、使用用途によっては面白くなる二つの跡地など、未来への可能性が混じり合う、一緒のアジア的渾沌とした風景があります。ここに様々な問題も発生しています。集客力のある反面、駐車場の不足は違法駐車を余儀無くさせ、また飲食店の不足もとりざたされています。舗道への無秩序な自転車の放置など、美観を損ねている問題。秋葉原・電気街の内側の問題とともに、郊外に進出した大型ディスカウントショップの安売り攻勢で、集客量が減少しつつあることも含めて、「安売り」のイメージを一新しなければならない状況にきているのです。これらの問題を一つひとつ解決していくよう、秋葉原電気街振興会をはじめとする各振興会、若手・二世経営者で構成されるPC(プロモーション・コミュニティ)委員会など経営者の立場で、前向きな姿勢で対策が協議されています。
 秋葉原の新しい動きとして表面化してきたものに、カラー舗装があります。街を美しく、気持ちよくお客を呼ぼうという観点に立ち、今年一〇月から約三年間の予定で着手します。電線は地下に埋め、秋葉原をイメージするテレホンボックスを設置するなど、メインストリート・中央通りが生まれかわるのもそう遠いことではありません。

 秋葉原地域整備構想(昭和六三年度・千代田区)によると、「活気とふれあいの街」というテーマでこの地域の将来についても報告しています。秋葉原電気街振興会でも、安売りだけのイメージを変え、新たなイメージを構築しようとの方向にあります。住民は、神田らしい人情味あふれ、なおかつ産業が盛んで活気ある街を求めています。一般消費者としての利用客も現在の街の機能に満足しているだけでなく、新しい何かを求めています。立場はそれぞれ違いますが、多くの人たちの心の中で、未来の秋葉原が創造されつつあるのです。そんなことも踏まえ、これからの秋葉原がめざすもの、めざしてほしいものは何かを考えてみたいのです。
 それは電気街という個性を生かした、「情報発信基地」ではないでしょうか。国内の家電製品総売上高の約一〇パーセントを占めている点で、各メーカーはテストマーケット的存在として早くから秋葉原を重視し、有効活用しています。製品開発、販売戦略において欠くことのできない地域なのです。逆に考えると、消費者にとっても新製品をいち早く入手できるところといえるでしょう。それならば、安売りだけを全面に押し出すだけでなく、例えば電気街の総合ショールーム的なものが存在しても良いのではないでしょうか。各メーカーからの新製品展示スペース、あるいは家電製品を中心とした総合生活提案スペースなど。ある大型店では既に後者の考え方を取り入れるなどして、単なる安売りからの脱皮を計っています。
 飲食店の問題についても、電気街と他の地域とのつながりを強化することによって、あり程度解決ができると考えられます。たとえば神田グルメ街・須田町との何らかの協力により、これまでの万世橋までの客足をわずかに伸ばす工夫など。真の情報発信基地、ひいては神田のさらなる発展をめざすものであれば、隣接する地域との結び付きも必要になるのではないでしょうか。
 ともかく今、 新しい秋葉原が生まれつつあることを多くの人に知っていただき、地元の人たちだけでなく、利用者も含めて、各方面での協力体制の確立が望まれます。


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