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神田資料室

KANDAルネッサンス 9号 (1989.04.20) P.17〜18 印刷用

神田学会レポート・5


御茶ノ水駅改良計画について


東日本旅客鉄道株式会社 石綿 斌

 御茶ノ水駅舎の改良工計画については、老朽化が著しいということで国鉄当時より話は出ていましたが、ご承知のように財政難だったというはもちろんのこと、「谷間の駅」といういうことで地形的条件が悪く、工法の検討を重ねたり地質調査が難航したりしているうちにどんどん時間が過ぎていきました。
 また、この地域は「第一種文教地区」「第二種風致地区」「都市計画緑地」と法規制も厳しく、工事自体も道路や神田川等を利用しなければならないため、許可申請等も複雑になるなど悪条件が多くあり、さらには分割民営化が行われたため改良計画は延び延びになっていました。
 しかし、東京都や千代田区との協議を再開し、建築基準法や都市計画法等の指導を受けながら、なんとか今回のコンペにたどり着きました。
 千代田区との協議の中では「千代田区街づくり方針」に基づく要望事項として、(1)ホームの狭さの解消、(2)階段の増設、(3)駅前広場の混雑緩和、(4)公共空間の拡大などが出されましたので、その各々について検討をしてみました。
 まず(1)のホームについては、これを広げるためには「お茶の水橋」と「聖橋」の橋脚を壊す必要がありますが、これはとても無理であり、かといって逆に民地側(茗渓通り・淡路坂)に入ることも、総武線の鉄橋を曲げなければならないことや、中央線のカーブをこれ以上きつくできない等の理由により不可能と思われます。よってホームについては拡幅はしないことにしました。
(2)の階段については、現状より1ヶ所増設し全部で5ヶ所にする予定です。
(3)の駅前広場の混雑については、両方の橋の間を人工地盤等により蓋をすることによって現在の駅施設をその中に取り込み、それ以外の場所を駅前広場として確保することで解決できると考えています。
 最後の(4)の公共空間についても、(3)のような方法で駅舎を線路上空に作れば、他は開放性を持たせることができると予測しています。
 そして、このような前提条件のもとに駅舎改良のシュミレーションを出してみたところ、現在のホームの著しい混雑状況は、ある程度緩和されることが分かったので新駅舎を作ることに決定した訳です。
 確かにJRの中にも建設部門があるので、私達単独でも新駅舎を作ることは可能なのですが、それでは今までと何ら変わりばえのしない駅となってしまうので、既成概念を取払うという意味からコンペ方式を導入いたしました。
 これまでの駅というと、どちらかといえば単なる通過点であったに過ぎませんでしたが、これからの駅は「楽しめる駅」「くつろげる駅」「情報が得られる駅」というような多機能なサービスが必要となってくるでしょう。
 そして、新装なる御茶ノ水駅が都心型で未来指向のモデル駅となってくれることを期待しています。

質疑応答
 ——千代田線との接続は考えているのか?
「技術的にはできないことはないと思うが、深さの問題等々、関係する機関と協議をしなければいけない点は多いと思う。
 いずれにしても他人の敷地内のことなのでJRだけの問題ではないし、もちろんコンペの中にもここまでは入っていない。」
 ——神田川を越えて文京区側に乗降口を作ることはしないのか?
「船舶等との絡みがあるので現状では困難であろう。」
 ——人工地盤と神田川の景観との関係は?
「人工地盤は線路上に作るので、神田川まではみ出して川を蓋してしまうというようなことは有り得ない。第二種風致地区等の法規制は当然守るべきものであるし、ロケーションは大切にしていきたい。」
 ——コンペにより駅のイメージが決定したら、その輪を周辺地域にまで拡大していくのか?
「千代田区の方からも民地と共同で再開発をという話はあったが、老朽化や不便さ等の理由から利用客の不満の声も多く、事故等を考えると時間的には急がざるを得なかった。地域との関わりはコンペの提案ができてからの協議ということになると思う。」


御茶ノ水駅公開プロポーザル・デザイン・コンペティション(募集ポスター内容、1989年)
東日本旅客鉄道株式会社

 このコンペでは、中央本線御茶ノ水駅の改良に当たり、駅の新しい機能に関するアイデアと良好な周辺環境に調和するデザインの提案を広く募ります。駅は単なる通過点として捉えられてきましたが、これからは、例えばエキコンやステーションギャラリー等の新しい試みのように、人々が楽しみ、くつろぎ、そして最新の情報が得られる多様な機能を備えることが必要であると考えます。新しくできる御茶ノ水駅が都心型未来指向のモデル駅となることを期待します。

[建築内容]
●所在地 東京都千代田区神田駿河台二丁目、四丁目
●用途  周辺の景観と調和し、新しい機能を備えた駅施設
●規模  本体棟 :道路面より3階、延べ床面積約11,000m²
     駐車場棟:道路面より3階、延べ床面積約 3,000m²
*各階の「プロポーザルスペース」に対して、新しい機能を提案してください。
[応募資格]
一級建築士、もしくは一級建築士を一人以上含むグループとします。(外国の方も応募できます。)
[日程]
●応募登録     1989年4月 3日〜4月21日
●応募設計図書受付 1989年8月21日〜9月 1日
●審査発表     1989年10月予定
[応募設計図書]
設計要旨及び平面図・断面図・立面図・透視図等をA1サイズ用紙3枚にまとめてください。
[審査委員会]
委員長 芦原義信(武蔵野美術大学教授)
 委員 内井昭蔵(内井昭蔵建築設計事務所代表)
 委員 太田和夫(日本建築士会連合会会長)
 委員 近江 栄(日本大学教授)
 委員 小林節夫(東京都生活文化局長)
 委員 望月章司(千代田区都市整備部長)
 委員 山之内秀一郎(東日本旅客鉄道株式会社代表取締役副社長)
[賞金]
最優秀案 1点  500万円
入選   4点 各250万円
佳作   10点 各 50万円
[作品展示]
当選作品は、東京ステーションギャラリー等で公開展示する予定です。
[主催]
東日本旅客鉄道株式会社
[後援]
東京都
千代田区
社団法人 新日本建築家協会
社団法人 新日本建築家協会
社団法人 日本建築士会連合会
[応募登録方法]
登録料3,000円を次の銀行口座に振込み、その振込書の写しを登録申込書に貼付し、「応募登録」と朱書した封筒に入れてコンペ事務局まで郵送してください。
●振込口座 富士銀行 普通預金 2275352
      御茶ノ水駅コンペ事務局
●振込期間 1989年4月3日〜4月21日
●事務局  JR東日本 御茶ノ水駅コンペ事務局
      〒100 東京都千代田区丸の内1丁目9番1号
          新幹線運行本部ビル818号室 
      TEL.  03-240-9604
*振込手数料は応募者のご負担でお願いいたします。
*上記期間内の消印のあるものに限り受理します。
*グループの場合は、一級建築士の資格を有する人が代表者として申し込んでください。
直接受付は行いませんので、ご了承ください。
登録手続き後、応募要項をお送りいたします。




石綿 斌(いしわた・あきら)
 東日本旅客鉄道株式会社・開発事業本部勤務。四ッ谷・御茶ノ水開発プロジェクト担当。
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