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KANDAルネッサンス 8号 (1989.01.01) P.4〜5 印刷用

東京ルネッサンスを考える

街づくりフォーラム 結果報告(抜粋)

てい談 草柳大蔵・望月照彦・堀田康彦 
草柳 それでは、てい談のテーマはシナジー効果(波及効果)を考えていく上で、イベントやパフォーマンスををどういうふうに積み重ねていくべきかということついて具体的に話をすすめてまいりたいと思います。
 望月さん、僕の言った「時短」という問題、すなわち労働時間が短くなって生活時間がうんと長くなるっていうことは、夜の時間が長くなるっていうことなんですね。
 で、どこの街に行ってもコンビニエンス・ストアの店先に若者が集まって、十二時、一時までしゃべっているんです。
 ところが、この神田っていうのはね、夜間人口はぐうっと大過疎になるわけですよねぇ。というのはよそに皆住んでいるもんだから、いなくなっちゃう。
 だから、夜の神田をもたせる方法というのを考えなきゃいけないんじゃないのかあ。これから生活時間が長くなると夜にいくでしょう人々が、人の交わりと楽しみを求めて。
望月 そうですね。過疎地になっちゃうんですよね。
 草柳先生もおっしゃったんだけれども、むろん住みついて夜の密度を高めていくということも大事だけれど、同時に、やはり今ある資産を使って、「アーバンツアリズム」っていうんですかね、特に夜を中心にしたツアーをやるというようなことができるんじゃないだろうか。
 だから、蕎麦屋へ行って軽く腹ごしらえした後、前のスッポン屋で軽くやるとか、なんかいろんなスタイルがあるんですね。
 僕は、資産を使ってそういうナイトライフの色んなモデルをここで出来るんじゃないかという気がするんです。
草柳 そうなんですよ。ナイトライフはこれから将来、日本の社会の中でいい時間になっていくはずなんだけど、逆にこういうビジネスシティーというのは、六時過ぎるとシャッターを降ろしちゃうんだよね。非常に冷たい街になってしまう。
 それをナイトライフに再展開するプロデュースが必要ですな。
 それには、あなたの言った「夜の神田めぐり」なんていうのは面白いねぇ、やったら。
 堀田さん、どうです今のプランは。なにか神田を生き生きさせたいんですが。
堀田 そうですね。駅の周辺には昼間人口がどっと集まって、ぱっと散っていく。その散り際に別れを惜しんでか、皆さん駅の周辺で飲んでいますが、それ以外のエリアはほとんど閑静な住宅街、というよりは人のいない住宅街に変身しちゃうわけですね。やはり、だんだん々々街が寂しくなってきますねぇ。これを何とかするというのは、やはり「住む」ということが一つの機能だろうと思います。
 それからもう一つは、商業施設がですねぇ、外国では大通りでも、店は終わっても夜は明りをつけておくとかいうケースは沢山ありますね。街の意志として、そういう街づくりを考えることも大事なことだと思います。
望月 なぜ千代田区が夜も含めて活性化しないのかというと、夜は働く人がいないからなんですね。
 例えば、青山辺りにいいレストランが出来るとか、いいファッションが出来るとか、これ全て夜働いている人が中心なわけですよ。
 例えば、システムハウスとかソフト屋さんなんていうのは、「夕方出てきて夜働いて朝帰る」というパターンだから、どうしても夜おなかが空くから外へ出ていく。そうすると、その時に様々な情報が交換される。だから、着るものも夜売ってるわけです。
 ナイトライフは遊ぶだけじゃなくて、ビジネスも遍在してきています。
 例えばこの辺にある長屋なんかは、それを使って長屋の「インキュベーター」が出来ないかと思っているんです。長屋をファッション関係だとかソフト屋に貸して。むしろ夜働く人口を増やすということですね。これがどうも大きなポイントになるんじゃないかという気がしますね。
草柳 今、望月さんの言われた「インキュベーター」というのは「孵化器」という意味です。「インキュベーション」ていうのは「孵化する」ということです。
 だから長屋をインキュベーターにしてファッションモデルに貸すとか、そいうことをやると、街も彼らが飲みに来たり、飯食いに来たり、ちょっとした買物をするんで、起きていかざるを得なくなるんです。
望月 波及効果っていうのはそうなんですよね。遊ぶ奴ばかりでは駄目なんですよ。働いてる奴、遊んでいる奴がそこで相互に入れ代わるわけですよ。二十四時間都市というのはそういうことですよね。
 ある時間帯のモデルがだいたい決まっちゃってるという都市はだいたい駄目ですね。様様なバリエーションで都市にコミット(関係)しているっていう、そういう都市がこれから活性化しますよね。
 だから昼間人口という概念がなくなる都市がいい都市だと思います。
草柳 堀田さん、やっぱり神田というのは蕎麦とか寿司とか天麩羅とか、いわゆる日本的な、伝統的なグルメの街って言えますか。
堀田 必ずしも日本的な伝統だけではないんですけれども、そういう部分が下町としてかなり残っているところもあると思いますね。
 それはそれで必要ですが、もう少しその街のカラーを鮮明にしていくということ、例えば九段の方から順に古書店街、小川町のスポーツ店街、そして、昔万世橋駅という駅があった辺りの食べ物屋、それから電気街の秋葉原、そういうふうにモールとしてつながるような街を、望月先生がおっしゃったパッチごとにカラーを出して、それぞれ色合いの違うカラーが有機的に結びつくという、そういう捉え方も必要なんじゃないでしょうか。
草柳 「神田グルメ大集合」というのはねぇ、ネットワークじゃなくてパッチワークでやると面白いですね、確かに。
 でも、「神田っ子体験ツアー」なんていうのは、本当に喜ばれると思うんです。
 だから、堀田さんのところいへ行って、正式な蕎麦の食い方教えてやるとかねぇ。さしみの食い方、蕎麦の食い方、寿司の食い方ね、いろいろあると思うんだなあ。
 だんだん神田のイメージが出てきたし、なにかやったら面白そうですね。




街づくり推進公社誕生!
 昨年の10月、財団法人「千代田区街づくり推進公社」が誕生しましやた。この推進公社は、“公共・公益的な立場から街づくりを支援し、都市機能の維持増進と都市環境整備を促進すること”を目的として設立されたものです。
 コンサルティング機能や用地の先行取得など、今までと一味違った街づくり運動の組織として注目されます。


草柳大蔵
評論家。放送番組向上協議会副委員長、日米関係交流委員会委員(外務省)他を歴任。大正13年横浜市生まれ。昭和23年東京大学法学部政治学科を卒業後、雑誌社、産経新聞社の編集記者(経済担当)を経て、大宅壮一氏に2年間師事。以降、同32年に独立しフリーランサーとなり、同42年には著書『現代王国論』で文藝春秋読者賞、又同59年には放送文化賞を受賞している。主な著書には『現代王国論』の他、『企業王国論』『世界王国論』『実録満鉄調査部』『私の応援歌』『自分の人生、生きてますか』などがある。

望月照彦
都市建築家。(株)キャルコーポレーション顧問、通産省コア・シティ推進委員会委員。昭和18年静岡県清水市生まれ。同44年日本大学理工学部大学院を卒業後、民間デベロッパーを経て独立。以後、ハイテクノロジー、ビジネス・インキュベーター、シニア・ライフ産業、都市資源ビジネス等、幅広い研究調査活動を行っている。
主な著書に『マチノロジー・街の文化学』『商業ルネッサンスの時代』『都市文化の仕掛人』『都市のエッセンス』などがある。

堀田康彦
有限会社薮蕎麦代表取締役。万世橋街づくり協議会副会長、神田学会会員。昭和19年千代田区生まれ。法政大学経営学部を卒業後、家業である「かんだやぶそば」を継承すべく2年間京都にて修業。同45年より家業に入り、同57年に四代目を継承。以降。PTA、法人会、ロータリークラブ等を通じ、地域の社会活動に参画している。
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