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KANDAルネッサンス 7号 (1988.10.01) P.17 印刷用
彫刻が街にやってきた7

「天に昇る」

星 恵三

 芸術を追求している人ならば、それぞれの独特な個性と芸術観を持っていると思います。感覚的、視覚的に感じるところによって自分の造形を自分の作業意図に取り入れて、ひとつの創造的な意味が含まれた形態の表現をしていると思います。
 この作品は「鍛金」という工芸技法によって作られています。鍛金は、ブロンズ彫刻を作るように型の中に溶かした金属を流し込み造型するのではなく、金属をたたき、溶接しながら造型していく技法です。素材そのものに触れながら最後まで作っていくので、自分の作った形そのままにでき上がる満足感があります。ただし、技法の性質上、部分部分を作りつなぎ合わせていくので、計画性をしっかり持っていないと、でき上がった時自分の思い通りの形にならないこともあります。
 この作品のテーマは、自分の感じる快い形態を人体というモチーフに、線による形態の創造と、線の流れによって作られる視覚的運動感と空間的なイメージを形象化した作品です。もっと抽象的な形も考えましたが、人体彫刻が好きで、楽しみながら製作するために具象表現にしました。人体の形を正確に表現するのが目的ではないので、水平垂直の方向性や、鍛金ならではの単純で美しい曲面を表現するために強いデフォルメをしてありますが、自分の持っていたイメージにかなり近づけたと思います。北原ビルの、モダンで、細く空に伸びていく形とうまくマッチしてくれたらと思います。

「鍛金」という技法により生命を与えられた作品「天に昇る」。金属でできているとは思えぬほどその姿は艶やかで、行き交う人々を魅了する。
(千代田区内神田1-18-12 北原ビル)



星 恵三 東京芸術大学教授
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