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KANDAルネッサンス 5号 (1988.04.25) P.5 印刷用

神田学会レポート・2


都心神田の街づくりに


神田学会 早川正一

 千代田区では、数年前より人口8万人を目標に、街づくり協議会を発足させるなど様々な努力を重ねてきましたが、人口は減少の一途をたどっています。
 たしかに現行の法律や条例の範囲内では、人口減少を食い止めるのは困難だと思われます。行政の方々は、現行法を土台にして忠実に運用することが義務ですから、法を変えていくとしたら、それは政治家の役目でしょう。
 例えば中央区では“定住人口回復元年”を宣言し、人口を8万人から10万人に増やすべく運動を始めています。中央区選出の政治家の方々は、「人が住める条例を」ということで、区議会・都議会・国会と、順番に提案し可欠していこうとはりきっています。
 既に中央区や港区では、建築指導要項で、300m²以上の敷地においてはその50〜100%に相当する部分を住宅、もしくは緑地にすることを義務付けており、それを満たさないものについては建築を許可しないことにしています。しかしながら、そういった策をこうじてもなお人口は減少しているのが現状だそうです。
 ですから、未だに人口や緑地を増やすような手段を採り入れていない千代田区においては、「人が住める条例づくり」が最優先課題といえましょう。
 ところで、ここでいう「人が住める条例」とは、わかりやすくいえば「人が住める環境をつくるための条例」ということになります。それは単に日照権であるとか、固定資産税を上げないというような対策ではなく、もっと根本的なところから取り組む必要があります。
 千代田区では今回の用途地域見直しについて、住宅地域から商業地域への変更や容積率の一律アップは、再び地価の高騰を招く恐れがあり、定住人口確保のためにも好ましいことではないとして渋っています。たしかにその通りであり、そういった事態を引き起こさせないためにも、住居のためだけに限って容積率の割増しや法規の緩和をするのが先決です。
 海外で成功している都市政策を参考にして、低層階を事業用に、高層階を住宅用にする共同ビルの推進を図っていく必要があります。
 具体的には、公共空地や公共緑地を設けた場合には容積率をおまけするといった“法規制の緩和”、住宅部分についてのみ固定資産税や相続税評価を10分の1以下に下げるといった“住宅部分優遇税制”、そして“区分所有権の完全独立”という三本の柱を中心に展開してみてはどうでしょうか。
 先日発表された千代田区の街づくり方針では、住民と企業と行政が三位一体となって街づくりを進めていこうというスローガンが掲げられました。しかし、企業は収益をあげるのが目的であり、行政は現行法を運用するのが義務ですから、収益性の悪い住宅は後回しになりがちです。したがって住民が中心となり、これらの運動を盛り上げていくことが、定住人口確保の第一歩といえるでしょう。

神田学会
 その名の通り神田の街を学ぶ集まり。一年程前に設立され、メンバーは地元の有識者や学識者。定期的にパネラーをむかえてディスカッションを開いている。今回のレポートは1月27日神田学会での講演会の内容を要約したものである。


早川正一(はやかわ しょういち)
神田学会会員。早川正株式会社取締役社長。他にも会社を経営するかたわら、オフィス化の進む千代田区になんとか定住人口を増やそうと取り組んでいる。ニューヨークなど海外の事情にも明るく、日本と欧米を比較したユニークな街づくり提案で知られる。
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