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KANDAルネッサンス 4号 (1988.01.01) P.7 印刷用

神田学会レポート1

千代田区の町づくり未来構想について

法政大学教授 河原一郎

 千代田区の今の一番の問題点は、住民減少問題である。住み続けたい人が住み続けることが出来るということは、住民の基本的な権利であり、住民のいない街がいかにつまらない非人間的なものであるかということを説いていく必要がある。
 また、現在の地価の問題も、都心問題、千代田区の問題として考えてみる必要がある。
 これらの問題を最終的に解決するために提言させて頂くなら、まず第一に、地域や建物を開発する場合の「開発権」の問題を考え直してみる必要がある。フランスなどで見られる様に、2・3階までは土地所有者が利用するが、その上の階は公共性をもったものとして考え、その開発利益は公共に還元するというようなやり方、すなわち、開発権を土地の所有権から切り離して考えてみてはどうだろう。但し、公共性とは、まず地元の市民と自治体が考える公共性を尊重すべきである。千代田区の場合であれば、その開発利益の部を住宅にまわすことも考えられる。
 第二としては、土地の値段を公開制にして町づくりをする市民や自治体に分り易くすべきであると思う。
 第三としては、市民が主体性制を発揮できるような町づくりのしくみをつくる必要がある。千代田区問題、時に人口問題は他の地域の人には理解されにくいので、「都市論」として理論化して説得していかなくてはならない。すなわち、千代田区は日本の都心としてかけがえのない場所であるから、都心をかかえる区民及び自治体の責任と役割を果すということで、他所の人達に分っていただかなくてはならない。
 そして、千代田区が国際的交流と協力の場としての魅力あり効果的な都心となりうるためには、次の様な四つの条件を満たさなくてはいけない。
 まず、多様な機能がくさび形に入り込み融合し合っていること。これは、商業地域である神田地区、業務・政府の施設の多い丸の内、霞ヶ関地区、そして文化的住民地域である麹町地区などを上手に組合わせていくことである。
 第二は、老若男女・日本人・外国人を問わず、多様な職業と階層の住民が居住し交流し合っているということ。
 第三は、皇居前広場・公園・会議場その他の国際交流のための部隊装置をつくり上げること。
 そして四番目は、意図的にやるのではなく、過去・現在・未来にわたる市民的、国民的活動の結果として、シンボル体系叉は群が育って行くといういうことである。この様な都心を作ることができるのは日本では千代田区(中央区・港区を含み)だけである。
 そもそも現在の東京の都市計画は、建設省と東京都が権限を握っており、区などの自治体にはあまり権限がない。しかし、その地域の実体はその地元の自治体でしかわからないのであるから、地元の住民と企業と自治体とが協力して町づくりを進めていくよう努力をすることが必要である。また、都市計画の権限も獲得していかなければならない。そして、千代田区は日本の中心でもあるということで、知恵を出し合って国や都や大企業を動かしていくことが課題といえよう。

※この文章は、昨年10月19日に行なわれた第5回神田学会での講演の内容を要約したものです。

神田学会
 その名の通り、神田の街を学ぶ集まりで、地元の有識者や学識者などのメンバーで構成される。月一回、大学教授などを招き、神田の街づくりの現状、問題点、未来構想についてディスカッションをしている。


河原一郎 法政大学教授
 法政大学教授。河原一郎建築設計事務所所長。千代田区の都市計画新議会委員でもあり、建築家の立場から街づくりに対しての数々の提案をしている。
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