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KANDAルネッサンス 1号 (1987.04.01) P.13 印刷用
彫刻が街にやってきた1

「寿人遊星」

山下恒雄

 寿人遊星とは、寿老人が宇宙を回遊して、星と共にあまねく市民に長寿を授ける神のお姿である。
 その寿老人は、七福神の第一におかれる長命の神で、古来中国では南極老人星といって、福寿をつかさどる星とされたが、宋・元時代(日本では室町時代)から人格化されて偶像となり、画像・彫像となって、庶民の信仰を深める対象となり普及した。
「形像は老人の姿で、人間の寿命を記した巻物を先に結んだ杖をつき、また長命の象徴の二千年を経たとされる黒鹿(玄鹿)を伴う」と百科事典に記されている。広辞苑にも同様の記事あり。
 そのような資料にもとづき、寿老人に模したモチーフに、76年目に訪れたハレー彗星の形状をパターン化してあしらい、特に像のホルムについては、古来から言い伝えられている長い頭で、あご髯を含めてデホルメーションして扱い、右手に長い杖を持たせ、その先に寿命を記した巻物を結び、左に黒鹿を印刻で表し、胴の短い形体で頭部のバランスを誇張表現した。
 頭部には、上から下に流れる彗星の状況を形に印刻星を一つ、白銅(銀色)を切りばめ象嵌し、ハレー彗星を象徴表現した。
 尚、七福神は普通、舟に乗って並んでいる像が多く見られるが、像とのバランスなどを考え、舟にちなんで水文様を用いて像の台を形づくり、寿老人を乗せ、安定感をはかった。

ハレー彗星接近の年、モチーフとなったのは七福神の一つで、星と関係の深い寿老人。そのモニュメントの中には七十六年後の未来の街の想像、発展を念じたタイムカプセルがつまっている。
(千代田区九段下俎橋児童公園)

*この彫刻は、絵本「神田彷徨」((株)久保工務店発行)の売り上げ金の一部によって創られ、千代田区に寄贈されたものです。



山下恒雄 東京藝術大学教授
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