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神田資料室

KANDAルネッサンス 1号 (1987.04.01) P.9〜10 印刷用
神田の音・神田の耳(1)

神田サウンドスケープ研究会見参!

川村龍俊

 神田—江戸時代、武家屋敷が立ち並び庶民の生活の舞台だったこの地域は、明治、大正を経て学生と本の町へ、そして現在は数々のビルが立ち並ぶビジネス街へと変貌を遂げてきた。川と坂がある地形の中、これらのそれぞれの時代の顔はそれでも消えることなくいろいろな形で残っている。
 神田を語ることは、こうした目に見える物事のみならず、耳に聞こえる出来事からも可能なはずである。いやその方がずっとおもしろいにちがいない。こう考えた私たち神田サウンドスケープ研究会が発足したのは昨年の春のことだった。
 「サウンドスケープ」とはまた耳慣れないことばだと思う方も多いであろう。直訳すれば「音の風景」。なんのことはない、物事や、出来事を耳に聞こえる音によって認識したり考えたりすることなのだ。音はおもしろい。ある一つの音は、ある特定の場所で特定の時にしか出会えないのだから。人によって覚えている音、好きな音、大切な音、みんな違うものになる。音にはことばや音楽やあらゆる種類があるから、ある人がどの音をどのように聞いているかを考えただけでワクワクしてしまう。
 神田には神田のサウンドスケープがきっとある。けれどそれはまだ誰にも知られていない。それは、どうすれば他の人がわかるように説明できるのか、いや神田の人々が自分で理解できるのか、その方法がわからないからだ。
 研究会は、神田のサウンドスケープを「昔と今」という視点でとらえることにして、昨年春から夏、予備調査をおこなった。神田に住んでいる方々にインタビューし、アンケートに答えていただいて、集まったたくさんのお話から昔と今のサウンドスケープの移り変わりをまとめてみた。

( )内の数字は「神田らしい音」「神田を象徴する音」という質問に対し約60名の
方々によって言及された回数を示す。
<神田らしい音>トヨタ財団主催 第4回研究コンクール“身近な環境を
みつめよう”予備研究報告書より
 およそ明治から現在までの百年で、神田の人々が聞いてきた音はたいへん変わってきた。具体的にどうなのか、それはおいおい連載を読んでいただくことにして、はっきりわかったことは、「町の有り様が変わったのにつれて、サウンドスケープも変化している」ということ——。当然の結果といえばそれまでだが、直接にうかがったお話からサウンドスケープの歴史を実証的にまとめたのは日本でも初めてのことなのだ。
 研究会は昨年11月、三崎町に事務所をかまえた。これから少なくとも2年間にわたり、神田のサウンドスケープに取り組んでいくための基地だ。事務所がかまえられるようになるまで、予備調査の間に知り合ったほんとうにたくさんの「神田っ子」に助けていただいた……みなさん、ありがとうございました。このご恩は研究の成果で必ず返しますので、この先も末長く見守っていてください。
 今年度研究会は、この連載をはじめとして研究の成果をお知らせする冊子の発行などの広報や、今までに得られた結果をもとにしてよりわかりやすく面白いものにグレードアップしての第2インタビュー、音の図書館の作成、血気盛んな若者たちによる催し、そして音楽やその他作品の製作、神田のみなさんといっしょに考え、苦しみ、楽しむ計画を実行していく予定です。みなさんに謙虚に学ぶ姿勢を崩さず、共に歩む研究会にしていく所存です。このような私たちの活動に興味を覚えた方、老若男女を問わずお待ちしています。ぜひご連絡ください。皆様、よろしくお願いいたします。

◆神田サウンドスケープ研究会(代表 鳥越けい子)

川村龍俊 神田サウンドスケープ研究会会員、学生
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